保健センター 保健管理室(保健師) 岩切(いわきり)
11月に入り気温も徐々に下がってきました。電車やバスに乗っていたり、キャンパス内を歩いていたりすると、マスクを付けている人が少しずつ増え始めているように感じます。季節の変わり目に体調を崩す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マスクの着用には大きく2つの意味があります。
1つは「感染症を周囲の人に広げることを防ぐ」というものです。インフルエンザや風疹(ふうしん)など、いわゆる「飛沫(ひまつ)感染」で広がるような感染症については、患者自身の呼吸器症状(咳やくしゃみなど)によって菌やウイルスを含んだしぶき(=飛沫)が周囲に拡散され、それを別の人が吸い込むことで感染が拡大しますので、マスクを着用することで呼吸器症状による飛沫の拡散を予防できます。
もう1つは「菌やウイルス、化学物質などの有害物質が呼吸器官(肺や気管支など)を通して体内に侵入することを防ぐ」というものです。これは、花粉症や風邪などの予防にマスクが使用されていることがイメージしやすいですが、有害物質が体内に侵入することを物理的に予防できます。ただし、結核や麻疹(はしか)などの「空気感染(=飛沫核感染)」により拡大する感染症は、マスクの着用によって菌やウイルスを含んだ飛沫を吸い込むことは予防できますが、飛沫に含まれる水分が蒸発して「飛沫核」となった菌やウイルスはサイズが非常に小さいため、市販のマスクでは体内への侵入を予防し切れない場合もあります。また、正しくマスクを着用しないとマスクと顔との隙間ができ、予防効果を十分に得られないこともあります。
感染症を予防するための基本は、「手洗い」と「健康的な生活習慣」です。帰宅時の手洗いやバランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動により、身体の免疫力・抵抗力を高めることが最も大切であり、併せてマスクを正しく着用することで、感染症を予防する効果をより期待できます。免疫力・抵抗力を高めるという点では、健康保険適用外ですが、予防接種を受けるという方法もあります。また、病気は早期治療が重要ですので、呼吸器症状がある際にはマスクを着用し、最寄りの医療機関やかかりつけ医を早めに受診しましょう。