厚生労働省と農林水産省が合同で策定した「食事バランスガイド」によると、果物の一日の摂取目標は200gとなっている。

キウイフルーツやみかんなら2個、りんごや梨であれば1個が目安となるが、実際にそれだけの量を食べられている人は日本人全体のわずか16%程度[出典元] 。中でも高齢層の摂取量は増えているものの、若年層の摂取量は低下の傾向にある。

糖質制限ダイエットで喜ばしい結果を得た人がいる反面、糖質への間違った意識が果物の摂取量低下にもつながっていると指摘するパーソナルトレーナーの林健太さん。

「ダイエットをしていると果物は太るというイメージを抱いている人も多いですがそれは大きな間違いです。どんな食材も食べ過ぎれば太るのは当然ですが、果物の多くは水分なので想像している以上に含まれる糖質は少ないです」

中でもキウイフルーツは健康やダイエットにとって強い味方になってくれる。その一方で最もアレルギー発症頻度が高い果物でもあるので、まずは自身の体調と向き合いながら取り入れるようにしてみよう。

林さん自身も毎朝必ず食べるというキウイフルーツには、一体どんなメリットがあるのか。

① ストレス緩和
fruit
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キウイフルーツにビタミンCが多いのは周知の事実。

厚生労働省が推奨するビタミンCの一日摂取量目安は100mg。グリーンキウイ1個(可食部100g)では69mgとやや足りないものの、ゴールドキウイ1個(可食部100g)であれば140mgと簡単にクリアできてしまう。

「ストレスに反応して分泌されるホルモンであるコルチゾールは、血糖値と血圧を上げて起床の準備をするために朝方に分泌のピークを迎えます。その際に大量のビタミンCが消費されますので、キウイフルーツはその補給源として最適です」

過労や睡眠不足、たばこやアルコールなどで日頃から多くのストレスを受けていると感じている人は、ビタミンCの消費量が多くなる。

キウイフルーツはイチゴや柑橘類よりも含有量が多く、安価で食べやすく、販売しているものは熟す前なので追熟期間も含めると日持ちもしやすい。

ビタミンCが不足してしまうとストレスやイライラが解消しにくくなってしまうので、常に食卓にストックしておくことがおすすめ。

② 整腸作用

整腸に重要な栄養素の一つである食物繊維は、グリーンキウイのほうがやや多い。

フィトケミカルや食物繊維は、果実にはもちろん皮にも多く含まれるので、キウイフルーツに限らず野菜や果物はより多くの部分を食べるようにしてほしいと林さん。

「グリーンキウイも皮ごと食べられるのですが、表面に柔毛があり食べにくいです。一方のゴールドキウイは柔毛がないので比較的皮ごとでも食べやすいです。前述のビタミンCと相性の良いビタミンEやポリフェノールも皮に多く含まれますので、丸ごと食べるほうが栄養価は格段に高くなります」

また、キウイフルーツを丸ごと摂取することで脂質の代謝や腸内細菌叢の改善にも効果があるという研究結果[出典元] もある。

もちろん果実だけでも十分な食物繊維は摂れるので、消化に不安のある人は無理をする必要はないが、プラントベースローホールフード(野菜や果物を生で丸ごと)は健康やダイエットに多くのメリットをもたらしてくれる。

③ 胃もたれ予防

胃もたれ
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キウイフルーツはタンパク質を分解する特有の酵素アクチニジンを持つ。タンパク質は分子量が大きく消化に時間を必要とし、体にも負担がかかるので食物酵素は消化の助けとなる。

「アクチニジンは加熱すると失活してしまいます。高タンパク質な食事で胃もたれや胸やけを感じそうなときは、食後のデザートとして少量食べるといいでしょう」

果実半分であれば約30kcal程度なので、ダイエット中でも気にせず食べられるはず。

また、この酵素は追熟すればするほど量が増えるので、自宅でキウイフルーツを追熟させたいときはリンゴやバナナなどのエチレンガスを放出する果物と一緒に袋に入れて常温保存しておこう。

④ むくみ防止

むくんだ時に積極的に摂りたいミネラルの一つがカリウム。ナトリウムと拮抗関係にあり、ブラザーイオンと呼ばれ協同して働く。

細胞の浸透圧を維持することはもちろん、筋収縮や心肺機能にも重要な役割を果たす。

「どんな栄養も摂りすぎは好ましくありませんが、ミネラルはバランスが重要です。普段から塩分過多の人は十分にカリウムを摂取することを心がけ、その上で減塩と合わせて相対的な量を抑えていくといいでしょう」

フルーツの中でもバナナのカリウム量はトップクラスだが、キウイはそれに次いでカリウムの含有量が多い。

普段から野菜はしっかり摂っているけれども火を通して調理してしまう人にとって、生のまま食べられるフルーツは水溶性であるカリウムの貴重な摂取源になる。

⑤ 老化防止

「ビタミンCやEと共に抗酸化成分として見逃せないのがキウイフルーツに含まれるグルタチオンです。体の錆びを取る働きをした後のビタミン(=酸化型ビタミン)をまた元の形(=還元型ビタミン)に戻してくれる働きもあるので、体内の抗酸化力を高めていく上では必要不可欠です」

グルタチオンはそれ自身の強い抗酸化力から、美白やエイジングケア、疲労回復などの点滴としても用いられ、日本では医薬品として扱われている。

3つのアミノ酸から成るグルタチオンは体内でも合成できるので、その原料となるアミノ酸を欠かさないためにも十分なタンパク質を含んだ食事は欠かさないでほしいと林さん。

「抗酸化だけでなく解毒効果もあるので、肝臓機能も高めてくれます。また様々な感染症との関連性[出典元] も認められていますので、流行病が気になる今の時期には日頃から体調を整えるためにも、一日一個のサプリメントとしてキウイフルーツを食べるといいでしょう」

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/