なぜ私たちは「結婚」という形式にこだわろうとするのかというもの。働き方やライフスタイルが多様化し始めている日本。事実婚やオープンリレーションシップなど、カップルの交際のあり方も変化してきています。とはいうものの、私の周りの友人たちとは「結婚したい」という話ばかりです。様々な交際の形式が選べるようになっている今、なぜ形式にこだわるのでしょうか? 今回は「結婚」に関して改めて考えてみたいと思います。

「結婚」だけが幸せな選択?

wedding guests tossing rice at newlyweds, outdoors
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数年の交際期間を経て、男性からロマンチックなプロポーズを受け、めでたくゴールイン。これは、私たちが幼少期から触れる様々なメディアから得られる、結婚へのイメージなのではないでしょうか。また、「結婚」というと、愛する人と結ばれ、永遠の愛を誓い合う、神聖でロマンチックなイメージもあるはず。こういったイメージが影響し、多くの女性は結婚に対していつしか憧れを抱くようになるのではないかと思います。なぜか、わたしは結婚式やウエディングドレスなどに憧れはあまりないものの、それでもやはり「付き合う人とは結婚を前提に」というこだわりは持ち続けています。だけどそれってなぜなのでしょう。というか、そもそも私たちは必ずしも「結婚」という形式にこだわる必要はあるのでしょうか。芸能ニュースで度々見かける「◯年の交際を経てゴールイン!」という報道とか、交際歴の長いカップルに対して、「まだ結婚していないの?」なんて質問をしている人を見かけたことがある方もいるはず。確かに日本に住んでいる限り、交際における一般的なゴールは結婚かもしれません。でも、 「結婚」というゴールだけがカップルにとっての幸せな形なのでしょうか?



「事実婚」におけるメリットデメリット

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とはいえ、男女のあり方は「結婚」という形式だけではありません。日本では男女の関係は「結婚」という形式が一般的ですが、「事実婚」という方法で生活を共にしているカップルもいます。「事実婚」とは、夫婦関係にある男女が法的に入籍せずにいる状態にあることです。婚姻届を提出しない点が「結婚」と大きく異なる部分にはなるものの、そもそも「事実婚」には一体どういった特徴があるのでしょうか。まず、婚姻届を提出しないため、どちらも戸籍を変更する必要はありません。そのため、もし別れた場合でも法的な手続きが必要ないというのは一つのメリットです。二つ目のメリットは、夫婦別姓でいられること。ちなみに、私の事実婚をしている友人は、この点を非常に重視していました。日本は先進国の中で唯一夫婦別姓を認めていない国のため、名字を変更せずに関係を続けるには、これは重要なポイントになってくるのではないでしょうか。しかしながら、戸籍が異なる以上親権を二人で持つことができないため、自動的に生まれた子供は母親の戸籍に入ることとなり、父親は認知が必要となります。また、二人の関係が法的に認められていないため、配偶者控除や、医療費控除が受けられないというデメリットもあります。特に、万が一救急搬送された際の家族確認や、入院時に家族として契約書に署名することができないという点は最も大きなデメリットかもしれません。唯一、二人の関係性を立証できるものとして遺言が有効です。事実婚の関係を続けていく上で、これは非常に重要な点になってくるでしょう。このように、法的に認められた「結婚」と、事実上の夫婦関係としての「事実婚」。どちらにもメリットとデメリットは存在します。だからこそ、これからより真剣に将来を考えていく上で、二人にとって最も幸せな選択がどちらなのか、しっかりと話し合うことが重要になってくるのだと思います。

幸せの形は一つではないということ


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当たり前のことって、今更疑問を抱いたり深く考える機会って少ないような気がします。まさに今回の「結婚」というトピックはそのうちの一つ。私たちにとって「結婚」は交際におけるゴールとしては普通だし当たり前のことです。だけど、少し視点を変えて考えてみると幸せの形は一つではないことに気がつきます。私自身も、これから人生の大きな転機となるイベントを迎える機会が来るのかもしれません。その時は、自分と相手にとって最も適した選択ができるよう、常に広い視野を持ち続けていたいな。そんなことを感じた今回のコラムです。

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マリジョゼ
フィットネス&ウェルネストレーナー

フランス系カナダ人の父と日本人の母を持つ。大学時代からスポーツジムでインストラクターとしての活動を開始。自分自身の経験から、より多くの方にコンプレックスや体型を個性として受け入れてもらうべく、フィットネスを通して自己理解の重要性を伝えている。現在は産業カウンセラー資格取得に向け勉強中。ストレス社会に住むわたしたちの心と体の健康をテーマにしたPodcast「MJ's everyday coffee club」も配信している。
インスタグラム:@m4jb0417