試算表とは?種類と見方、作り方や作成するメリットを解説

2023/08/17更新

この記事の監修齋藤一生(税理士)

事業者は日々の取引を帳簿に記録し、決算期には決算書(財務諸表)を作成しなければいけません。その決算書を作るにあたって、まず帳簿からすべての貸方借方の金額を集計した「試算表」を作るのが一般的です。

ここでは、試算表を作成するメリットと試算表の見方、作成方法について解説します。

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「試算表」とは、一定期間に行われた取引の記録のこと

試算表とは、会計年度の途中の段階で作成される、一定期間に行われた取引の記録を集計した表のことです。

日々の取引は、まず「仕訳帳」に記載され、取引を勘定科目ごとにまとめた「総勘定元帳」に転記されます。試算表は、この総勘定元帳から数字を転記して作成するものです。決算書と違って作成義務はありませんが、作成することでさまざまなメリットがあるため、作成するのが一般的です。

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試算表を作成するメリット

試算表を作成することにより、さまざまなメリットを得ることが可能です。続いては、試算表を作成する主なメリットを3つご紹介します。

帳簿ミスを早期に発見できる

試算表の借方と貸方の数値は必ず一致するので、試算表を作ってこれらの数値が一致していない場合は、帳簿のどこかにミスがあることがわかります。又、各勘定科目の残高がおかしいためにミスに気が付くことができることもあります。

決算書作成時に数値のずれを発見した場合、1年分の帳簿を見直さなくてはいけませんが、定期的に試算表を作成しておけば、早い段階で帳簿のミスを発見できます。日商簿記3級試験では、試算表の作成問題が出題されます。数字の間違いを見つけることができて、試算表が重要な役割をするためです。

短期スパンで会社の業績を確認できる

試算表を見ることで、会計年度途中のおおよその業績が確認できます。毎月試算表を作成していれば、月ごとの資金の流れや売上も細かくチェックできますし、売上高や利益を前年の同時期と比較したり、前月や前々月と比較したりすることも可能です。試算表に表れた途中経過の数値から、会計年度全体のおおよその業績を予測することもできます。

業績が思ったように伸びていない場合でも、決算を待たずに問題を把握できるので、早い段階で経営改善に取り組むことができるでしょう。

融資を受ける際に資料として提出できる

短期スパンで作成される試算表は、会計年度ごとに作成する決算書に比べ、より正確に会社の現況を表した資料として扱われます。金融機関から融資を受ける際に提出すると説得力が増し、スムースに融資を受けるのに役立ちます。

試算表の作成時期

試算表を作成する時期や頻度については、いつ作成しなくてはならないという厳密な決まりはなく、自由に決められます。ただ、「短期スパンで会社の業績を確認できる」というメリットを得るためにも、できるだけ短いスパンで作成するのがおすすめです。

そのため、月次で作成する会社が多いですが、四半期、半期スパンで作成する会社もあります。個人事業主もできれば、月次で作成したほうがよいでしょう。

試算表の種類

試算表には、「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類があります。それぞれについて、詳しく解説していきましょう。

合計試算表

合計試算表とは、総勘定元帳をもとに、勘定科目ごとの借方・貸方の合計金額を集計してまとめたものです。勘定科目ごとに借方の合計値、貸方の合計値を計算し、合計試算表に記載することで作成します。合計試算表を見れば、会社が一定期間に取引した合計金額がわかります。

多くの場合、合計試算表は決算日や月末日に作成します。勘定科目ごとに借方、貸方の金額を記載するので、お金の動きが確認できます。各勘定科目の借方と貸方の合計は必ず一致するので、もしずれがあるなら帳簿のどこかが間違っていることを意味します。

合計試算表例:勘定科目:現金、売掛金、買掛金、資本金、売上、仕入、雑費 これらの借方と貸方の合計金額は必ず一致する

合計試算表では、勘定科目ごとの借方金額合計・貸方金額合計でお金の動きはわかりますが、残高はすぐにはわかりません。

残高試算表

残高試算表は、各勘定科目における借方と貸方の残高の差額を計算し、残高を求めて一覧表にまとめたものです。合計試算表上の各勘定科目について、借方・貸方のうち大きい金額から小さい金額を引いて残高を計算し、残高試算表に転記することで作成します。

各勘定科目の残高をひと目で把握できることがメリットです。そのため、会社の財務状態や経営状態を知ることが可能です。残高のみなので、転記ミスや転記漏れがあることはわかりにくいという欠点もあります。

残高試算表では、借方の合計と貸方の合計は、必ず一致するようになっています。

残高試算表例:勘定科目:現金、売掛金、買掛金、資本金、売上、仕入、雑費 これらの借方と貸方の合計金額は必ず一致する

合計残高試算表

合計残高試算表は、合計試算表と残高試算表を1つにまとめたものです。

「合計試算表では各科目の残高がわからない」「残高試算表では、転記漏れやミスの発見が難しい」といった部分を合わせることでカバーできます。両方の要素を兼ね備えるので、作成に手間がかかります。借方・貸方それぞれにつき、内側に合計試算表の数値を、外側に残高試算表の数値を、勘定科目ごとに記入していくことで作成できます。

合計残高試算表例:勘定科目:現金、売掛金、買掛金、資本金、売上、仕入、雑費 これらの借方合計と貸方合計の合計金額が必ず一致する、また、借方残高と貸方残高の合計金額が必ず一致する

合計残高試算表を見れば、会社が一定期間に取引した合計額と各勘定科目の残高の両方がわかって便利です。

試算表の見方

試算表を見る際に、特にチェックすべきポイントは2つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

借方・貸方の合計額が一致しているか

正しく仕訳がなされており、総勘定元帳にミスがなければ、試算表の借方の合計と貸方の合計は必ず一致します。もし、数値が一致しないなら、仕訳時の金額入力ミスや勘定科目の選択ミス、仕訳帳から総勘定元帳へ転記する際の写し間違いなど、何らかのミスがある証拠です。

その場合は、仕訳帳と総勘定元帳を調べて、ミスを探して修正します。

各勘定科目の状況はどうか

残高試算表の各勘定科目の数値を見ることで、会社にどれだけの資産や負債があるのか、どれだけ売上や利益が出ているのかなど、会社の業績がわかります。特に注目したいのは、下記の3点です。

極端に大きな数字がないか

数字が大きな勘定科目は、それだけ経営に与える影響が大きいので注意が必要です。例えば、商品額が非常に大きいなら、多くの在庫を抱えていることを意味します。

資産と負債のバランスが適正か

現金や売掛金などの「資産」と買掛金や借入金などの「負債」のバランスを見て、資産に対して負債が大きすぎるなら、資金繰りが悪化するリスクは高いといえます。特に流動資産と流動負債を比較して、流動負債が流動資産より大きい場合には資金繰りがかなり苦しくなっている可能性が高いでしょう。売掛金の額が大きい場合は、売掛金を滞りなく回収できているかも確認しましょう。

不適切な費用がないか

会社の利益(儲け)は、収益-費用で求められます。売上や仕入れ、費用の数字をチェックすることで、想定どおりに利益が出ているかを知ることができます。

試算表と貸借対照表、損益計算書との違い

残高試算表は、決算書である貸借対照表や損益計算書とほぼ同じフォーマットであり、貸借対照表や損益計算書を作成するためのベースとなるものです。表中の数値を転記すれば、簡単に貸借対照表や損益計算書を作成できます。

試算表と貸借対照表、損益計算書の違いは、試算表は帳簿に記載されたすべての勘定科目について集計したものであるのに対し、決算書の貸借対照表、損益計算書は外部報告用なので、試算表の勘定科目を決算書用の勘定科目にまとめたりして集計したものです。

貸借対照表は、資産、負債、純資産に該当する勘定科目だけを、損益計算書は収益と費用に該当する勘定科目だけを記載した表になります。

会計ソフトの導入で試算表が簡単に作れる

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また貸借対照表や損益計算書も簡単に作れます。取引仕訳も銀行明細などからの自動仕訳がされるので、数字のミスや勘定科目の選択ミスも大幅に軽減。そのため、確認にかかる時間も減るため、経理業務が大幅に軽減できるでしょう。

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この記事の監修齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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