成功するビジネスプランの立て方は?事業計画書との違いも解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

事業を成功に導くには、ビジネスプランが大事だという起業家も多くいます。しかし、そもそもビジネスプランとは、どういうものなのでしょうか。また、ビジネスプランを立てるときには、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。

ここでは、ビジネスプランの役割や必要性、ビジネスプランの具体的な立て方、ビジネスプランと事業計画書の違いなどについても解説します。

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ビジネスプランとは事業展開に必要な情報をまとめた設計図

ビジネスプランとは、事業の目標や達成するための手段や方法をまとめた設計図のようなものです。起業するときには、頭の中に「起業して何がしたいか」「誰に何を売りたいか」といったビジネスアイデアがあるはずです。しかし、漠然としたアイデアのまま事業をスタートさせてしまうと、見落としていた課題に後から気づいたり、考えていたことが実現不可能だったりすることがあります。また、自分のビジネスを他者に説明するときにも、内容がまとまらず、アピールポイントが伝わりにくくなってしまうでしょう。

ビジネスプランには、商品やサービスの内容、事業戦略や目標、市場分析、マーケティング計画など、事業を展開するための情報をまとめる必要があります。しっかりと項目立てられ必要な情報が記載されたビジネスプランがあれば、出資者や取引先に対しても「自分のやりたいこと」をわかりやすく示すことができます。

ビジネスプランは社内外の協力集めや事業の課題整理に必要

ビジネスプランを作成しなくても、事業を立ち上げることは可能です。しかし、ビジネスプランは事業への理解を促し、社内外の関係者からの協力を集める際に有用なツールとなるため、事業の立ち上げにおいて重要なツールといえます。

また、ビジネスプランを作成する過程において、自分の事業への考えが整理され、課題の発見と改善につながりやすくなります。アイデアが複数あるときも、どれを優先するか、どれを選択するかを判断する助けになるでしょう。

ビジネスプランはアイデアの明確化や資金調達に必要な資料

ビジネスプランは、ビジネスアイデアを明確化するために重要な役割を果たすと同時に、投資家や金融機関などから資金調達を行う際に必要な資料でもあります。また、取引先や顧客、採用したい人材、事業上の連携先といった外部の関係者に対しても、自社を知ってもらうための材料にもなります。

さらに、自身にとっても、ビジネスプランは事業の目標を明確にし、その進捗の管理を便利にしてくれるツールです。起業後、想定外の出来事があったり経営に迷ったりしたときも、ビジネスプランを見直すことで、本来の目的や進むべき方向を確認することができるでしょう。

ビジネスプランはリサーチにより販売戦略を考え立てていく

では、実際には、ビジネスプランはどのように作成していくものなのでしょうか。ビジネスプランを立てるときには、次のようなステップで進めていくことをおすすめします。

ビジネスプランを立てるステップ

  • STEP1.
    市場の分析
  • STEP2.
    競合の分析
  • STEP3.
    想定ターゲットへのヒアリング
  • STEP4.
    取扱商品やサービス内容、セールスポイントの明確化
  • STEP5.
    販売ターゲット・販売戦略の決定

では、上記のステップに沿ってどのようなことを行えば良いのか、1つずつ詳しく解説していきます。

STEP1.市場の分析

起業したい業界全体でどれくらい市場規模があるか、その中で自分が狙う市場がどれくらいの規模なのかを分析しましょう。

国や自治体、関連団体などが実施した統計データを活用すれば、個人でもある程度は市場規模をつかむことができます。実店舗をオープンさせる場合は、出店予定エリアの地域特性や住んでいる人の傾向などを調べておくことも大切です。

市場分析を行うことで、「市場規模が小さくてビジネスが成り立たない」という失敗などを防げます。

STEP2.競合の分析

顧客や取引先の興味を引くには、競合他社との差別化を図る必要があります。自分のビジネスアイデアと近い事業を展開している競合他社をリサーチし、自社の優位性をどのように確立していくのかを考えましょう。競合分析を行うと、自社の強みや課題に気づくきっかけにもなります。

STEP3.想定ターゲットへのヒアリング

市場分析や競合分析で導き出した仮説を検証するために、想定するターゲットの生の声をヒアリングしてみましょう。どれほど優れた商品やサービスでも、市場ニーズとマッチしなければ思うような利益を出すことはできません。ターゲットから予想とは異なるフィードバックを得られた場合は、改善のチャンスと捉えます。

市場ニーズを分析するには、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つのカテゴリーから事業戦略を検討する「SWOT分析」も有用です。

STEP4.取扱商品やサービス内容、セールスポイントの明確化

ビジネスで提供する商品には、物やサービス、知識、技術などさまざまな選択肢があります。これまでの分析をもとに主力とする商品やサービスを決め、内容や価格設定などを固めていきましょう。

商品の機能やサービスの特徴を整理すると同時に、それらがユーザーにとってどのようなメリットがあるかを考えることも大切です。商品・サービスのセールスポイントは、主観的なイメージや抽象的な言葉ではなく、誰が聞いてもわかりやすい言葉でまとめなければいけません。

STEP5.販売ターゲット・販売戦略の決定

STEP4で設定した商品やサービスのセールスポイントをもとに、より具体的なターゲットを定めます。年代、地域、性別、職業、年収などのカテゴリーで属性を分けると、より具体的にターゲットを絞り込むことが可能です。

そのうえで、直売や代理店など販路をどのチャネルにするのか、買い切りや継続購入など販売方法をどうするのかを決めていきます。ターゲットに商品やサービスを届けるために、最も効果的なチャネルでの販売方法を検討することが大切です。

事業計画書との違いは数字の具体性

ビジネスプランとよく似たものに、「事業計画書」があります。ビジネスプランと事業計画書の違いは、事業に関する金額の記載方法です。

同じ意味で用いられることもありますが、ビジネスプランは社内外の関係者に事業を説明するための資料、つまり、新しいビジネスモデルのプレゼンテーションです。事業戦略や目標などを記載しますが、仕入れ価格や純利益、売上や利益の予測など、実際の数字を入れ込んだ計画は、ビジネスプランの内容には含まれていません。

それに対して、事業計画書は、事業内容や戦略に加えて、事業を運営するために必要な資金をどこからいくら調達するか、事業年度ごとの収益見込みなど、具体的な金額に換算して数字まで記載します。ビジネスプランをベースに、人・物・資金といった経営資源の配分と時間的要素を加え、詳細な数字に落とし込んだものが、事業計画書ということになります。

事業計画書の項目例

事業計画書は、一般的には、次のような構成で作成されています。記載すべき内容と併せて確認しておきましょう。

事業の要約(サマリー)

事業計画書の冒頭には、事業の要約文(サマリー)を記載します。投資家などは、このサマリーを確認することで、この事業に投資価値があるか、続きを読むべきかを判断することもあるため、非常に重要な項目といえます。

事業の全体像

事業内容や取り扱う商品・サービスの特徴など、事業の全体像を明確に記載します。また、ターゲットとする市場や顧客ニーズなども示し、自分の事業が競合他社に比べてどのような優位性があるかをアピールします。

事業展開

生産計画や販売計画に加えて、将来を見据えた戦略についても記載します。商品やサービスの価格設定、販売場所、プロモーション活動など、今後の事業展開を、実現可能なプランとして提示しましょう。もし、既に受注の見込みがある場合には、その旨も記載しておきます。

財務計画

財務計画は、事業内容が持続可能なものか判断するうえで、大切な指標になるものです。開業資金や運転資金などの資金計画や、事業を運営していくために必要な収入と支出の関係を長期にわたって予測する収支計画など、説得力のある数値を用いて記載することが大切です。

プロフィール

事業の理念やビジョンの他、創業者や創業メンバーのプロフィールなどを記載します。これまでの仕事で培った専門的なスキルが今後の事業に関連する場合は、当時の業務内容なども盛り込むとアピールにつながります。

  • 事業計画書の書き方については以下の記事を併せてご覧ください

事業計画書の書き方|作成する目的や用途をわかりやすく解説

提出先によってチェックされるポイントは異なる

事業計画書の用途は、金融機関や投資家に提示して自分のビジネスへの理解を深めてもらい、融資や出資などで協力を得ることです。金融機関や投資家は、事業計画書の内容から事業の将来性などを予測して、融資や出資の判断材料にします。事業計画書の主な提出先は金融機関や政府機関・地方自治体ですが、チェックされるポイントはそれぞれの機関によって異なるため、提出先によって内容を調整する必要があります。

例えば、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関で融資を受ける際に事業計画書を提出する場合は、「融資の返済が可能な人物や企業か」「無理のない現実的なプランになっているか」といった点が重点的にチェックされるポイントです。

一方、政府機関や地方自治体が募集する補助金の申請を行う際は、「当該補助金制度の事業の意図を踏まえ、なぜその事業に取り組むのか」「補助金を得ることで、将来的にどのような効果が得られるか」などの点がチェックされます。

ビジネスプランを事業計画書に落とし込む際に重要な要素

融資担当者が事業計画書の中で注目しているのは、「経営者としての資質」「財政状態」「収支の見通し」の3つです。ビジネスプランから事業計画書に落とし込む際にも、この3点の要素を意識して記載するようにしましょう。

経営者としての資質

事業計画書に落とし込む際に重要な要素としては、プロフィールや事業実績など、「経営者として、そのビジネスプランに取り組むのにふさわしいスキルやノウハウを持っているか」という点が挙げられます。また、お金や数字に関して、適切な考え方があるかどうかもチェックされます。起業するビジネスと関連する経験がある場合は、必ず明確に記載しておきましょう。

財政状態

資産や借り入れの状況、必要な資金、それをどうやって調達するかなど、財政状態も重要な要素です。一般的には、自己資金が多く、負債の少ない方が評価は高くなります。また、同居家族名義も含めて財産の情報を積極的に開示すると、高評価につながるといわれています。

収支の見通し

事業計画書全体を通して、ビジネスプランが実現可能な内容かどうかが判断されます。事業内容については、誰が読んでもスムースにわかるように記載することがポイントです。併せて、収支計画の実現可能性や、資金繰りの見通し、収益が予測を下回った場合の補填方法なども、事業計画書に入れておくべき要素であります。

特に、創業時はまだ売上実績がなく、信用を得にくいため、事業計画書に記載した内容が融資判断を左右することも少なくありません。事業計画書の作成に不安がある場合は、税理士に相談してアドバイスを受けるといいでしょう。

また、専門家に頼らず、自力で事業計画書を作るには、弥生の資金調達ナビ「創業計画をつくる」が便利です。「創業計画をつくる」を利用すれば、創業費用や売上見込み金額などから創業後の利益や資金繰りを自動計算し、ビジネスプランを具体的な数値計画にすることができます。

  • 起業については以下の記事を併せてご覧ください

起業するには何が必要?知っておきたい起業の方法と流れを解説

起業アイデアの出し方は?ビジネスにするためのオススメの考え方も解説

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じっくり時間をかけてビジネスプランを固めよう

ビジネスプランは、起業の第一歩です。ビジネスプランで起業のアイデアを整理し、ブラッシュアップしていくことで、事業成功の可能性をより高められます。時間はかかるかもしれませんが、じっくり腰を据えてプランを練ることが大切です。

もし、ビジネスプランや事業計画書の作成で悩んだら、「税理士紹介ナビ」を利用して、税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。起業後、事業をスムースに進めるためにも、しっかりとビジネスプランを固めておきましょう。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

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