今からでも禁輸リストに加えたい、ロシア語由来のあの言葉
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ロシアによるウクライナ侵攻が長期化している。日米欧など西側諸国はロシアへの経済制裁を強化し、これまでの関係を断ち切る方向に動いている。4月7日には、先進7か国(G7)が石炭の段階的な禁輸を表明した。日本政府は同19日、ロシアへの追加経済制裁として、木材やウォッカなど38品目の輸入禁止措置を発動した。
東京で暮らしていると、ロシアを感じる機会はそれほどない。石炭や天然ガスなどを多く輸入しているイメージはあるものの、「外国」と言えば中国や韓国、ベトナムなどアジアの国々の方が圧倒的に身近に感じるのではないか。
法務省の統計によると、2021年6月時点の在留ロシア人は約9000人に過ぎない。国籍別・地域別で25位。首位の中国は約75万人、2位ベトナムと3位韓国はいずれも40万人台。ロシアの存在感をあまり感じないのも無理はない。
カニやウニ…水産物全体の輸入額では3位
だが、日本とロシアの関係は意外と深い。
農林水産省によると、水産物の輸入相手国・地域(金額ベース。2021年)で、ロシアは中国、チリに続く3位に位置し、輸入額の約8.6%を占めている。4位は米国、5位はノルウェーだ。
品目別では、カニやウニ、マダラは1位、サケ・マスは3位。北海道を中心に、ロシアからの水産物を扱うことで生計を立てている人が数多くいる。輸入がストップすることになれば、消費者は食べるのを我慢すれば済むが、関連業界で働く人たちの雇用を直撃することになる。
水産物以外では、製材もカナダに次ぐ2位の輸入相手国。日本銀行の企業物価指数統計によると、3月の「木材・木製品」の価格は、前年同月の約1.6倍だった。住宅や家具など、関連業界に及ぼす影響は甚大だ。
箱根駅伝の2区間ほど…韓国や台湾より実は近い
物理的な距離も近い。
北海道の宗谷岬とサハリン(旧樺太)との距離は、約43キロメートル。箱根駅伝で言えば、1区と2区を足した距離より少し短い。1区の区間記録を持つ吉居大和選手(中大)と、2区の区間記録を持つイエゴン・ビンセント選手(東京国際大)のたすきリレーなら、2時間6分ほどしかかからない(海の上なので走れないが)。
日本最西端の与那国島から台湾までの距離は約110キロ。対馬から韓国までの距離は約50キロだから、台湾や韓国よりもロシアの方が近いのだ。
イクラもキャビアもロシアでは「イクラ」
いわゆる「外来語」の中には、ロシアから入ってきた言葉もある。
よく知られているのはイクラ。ロシア語で「魚の卵」を意味する。イクラもキャビアも、ロシア語ではどちらも「イクラ」だ。区別する場合は、イクラは「クラースナヤ・イクラ(赤い魚の卵)」、キャビアは「チョルナヤ・イクラ(黒い魚の卵)」などと表現する。
働く人たちの天敵(?)とも言える「ノルマ」もロシア語が由来だ。
「個人や団体に対し、組織が割り当てた標準的な作業量」という意味を持つ。第2次世界大戦後、シベリアに抑留された日本人が帰国後に広めたことから、ネガティブな意味合いが色濃くなったという。
組織が半ば強制的に設定する「ノルマ」は、パワーハラスメントの温床とも言える。過去に遡って禁輸してほしい。