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読売新聞東京本社は、東京・大手町にある。
実は、しばらく前まで、付近の方角を誤って認識していた。北と思い込んでいた方角が西だったのだ。
原因は、いつも見ている地下鉄の案内図や地図だったのではと、自分を分析している。
西を北だと思い込んでいた原因…地下鉄案内図や地図
通勤に利用している東京メトロ・丸ノ内線には、停車駅名を直線上に並べた案内図がある。電車を待ちながら、「東京」「大手町」「淡路町」……と駅名が続く案内図を見て、「上が北」だと頭にすり込まれていた状態になったのかもしれない。実際は、この案内図の大手町付近の方角は、「上は西」である。電車は「東京」「大手町」「淡路町」と北に向かって走る。
また、駅構内や付近の幹線道路沿いには、地図も掲げられている。これも、「上は西」だ。
街角から減りつつある「北が上」の地図
学校で使う地図帳や広域の地図は「北が上」が原則。しかし「北が上」の地図は、街の中などから少なくなっている。
東京都立大学の若林芳樹教授(行動地理学)は「街角の案内板や建物内の避難経路図は、『整置』したものが増えています」と指摘する。
「整置」とは、地図を自分の向きに合わせること。進行方向に見えている建物などの情報が地図の向きと一致するので分かりやすい。
登山では、コンパスと地図を使い、地図を回転させながら体の向きに合わせる整置の訓練が行われるという。
行政などが街に設置する地図もそうだ。例えば、東京都大田区の「案内誘導サイン整備ガイドライン」には、「地図の向きは、目的地までの経路が分かりやすいよう、利用者が案内誘導サインに向かった場合の前方を上とする」とある。その際、方位記号を、見やすい位置に表示する。
「ただ、整置するとかえって分かりにくくなることもあります」と若林教授。広域の地図を見慣れていて、すでに「北が上」として記憶している場合、その向きと合わないと混乱してしまう。「整列効果」と呼ばれる。
若林教授によると、東京メトロ・東西線津田沼方面の停車駅案内図が一例だ。電車の進行方向により整置した結果、「南が上」になっている。一般の地図の位置関係とは逆に、千葉県側が東京都内の左に表示される。「北が上」の広域地図で位置関係を覚えている人には違和感が生じるかもしれない。ホームの反対側にある案内図は「北が上」になっている。
地図が広域になるほど、原則通り「北が上」で記載されることが多い。それ以外の向きを上にされると戸惑うこともある。
記者は、いつも見ている地図が、整置されたものであることに思いが及ばす「北が上」と判断していた。よく見ると地図には方位が記されている。