吉田拓郎76歳、今も消えぬ“ギターだこ”…「音楽はやっぱり最後まで一緒にいる存在ですよ」

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「奇跡の出会いだった」KinKi Kidsも参加

 今作には、30歳以上年下の人気デュオ、KinKi Kidsも参加した。2人とは1990年代、フジテレビ系音楽番組「LOVE LOVE あいしてる」で共演してからの仲だ。堂本剛は、「ひとりgo to」のアレンジとギターを担当。

 「これが、堂本剛の音楽かとびっくりした。ドラムやベース、リズムセクションの使い方が斬新だし、コーラスも不思議なところで入る。新しいというか。聴いていく度に不思議とはまっていってしまう音楽なんですよね。番組では、彼らにギターを教える企画もありましたけど、あんなのは何の役にもたっていないほどのすごさですよ」

 堂本光一はジャケットの題字を書いた。吉田たっての希望だった。

 「光一は嫌々だったでしょう。本当は、音楽で参加したかったのかな。でも、普通なことじゃつまらないなと思って、お願いしたんです。よく彼が言っていた口癖ですけど、『なんでやねん』だったと思います。光一はステージの演出も出来て美意識がすごいんだけど、味のある字だという記憶があってね。あの頃は、それぞれこんなミュージシャンとエンターテイナーになるなんて想像もしていなかった。今は、奇跡の出会いだったと思いますね」

“メジャー”の芸能界との距離感「どっぷりは嫌」

2019年のライブツアーで
2019年のライブツアーで

 一方で、盟友にも参加を呼びかけた。70年代からつかず離れずの小田和正。切なさを感じさせる「雪さよなら」を一緒に歌った。

 「オフコースが売れていなかった頃からの付き合いで、今、遠慮することなく話ができる、ただ一人の音楽の友。よく楽屋に『ピックちょうだい』ってやってきて、『貧乏なんだな、お前』なんて言ってましたね。今回、ラストだから、歌ってくんねぇかなという思いはあって。録音当日、『一緒にやんない?』って言われて、『俺とお前でハモるの?!』って思いながら、一緒に歌いましたよ。小田と僕は、いわゆる『メジャー』の芸能界との『距離感』が一緒。付き合いはあるけど、どっぷりは嫌っていう感じで。小田なら、ドラマの主題歌はやり、僕なら、アイドルの曲は作る。ずるいっちゃずるいんだけど、節度ある距離感で、自分たちの音楽を突き通してきたと思う」

 アルバムのラストを飾るのが表題曲だ。ストレートに「ah-面白かった」と、グッと力のこもった声を響かせて幕を閉じる。全体を通し、制作は、過去を見返しながら進めた。20歳で地元・広島から出てきて、いいことも悪いこともあった半世紀。旅立つ時は「ah-面白かった」と言っていたい。

 「20歳で東京に出てきて50数年。まんべんなく幸せだったかと言うと、決してそうじゃない。アンラッキーな日もあったし、私生活でのトラブルもあったし、 紆余(うよ) 曲折。アンハッピーもあったけど、今はどうかと尋ねられれば、めちゃくちゃハッピー。僕は幸せな人生を歩んでいると自覚している。過去が、今の自分を生み出してくれているんですよ」

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3133556 0 音楽 2022/07/03 06:30:00 2022/07/03 08:46:38 2022/07/03 08:46:38 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/07/20220701-OYT1I50114-T.jpg?type=thumbnail

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