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日本郵政グループが、デジタル地図事業への新規参入を計画していることが明らかになった。郵便や物流事業で得た道路や建物などの変化を随時反映する「生きた地図」作りを目指す。全国2万4000局の郵便局網を活用することで、米IT大手のグーグルなど、先行する企業に対抗する。
複数の関係者が明らかにした。電機メーカーのパイオニアから独立したカーナビゲーション用デジタル地図大手「ジオテクノロジーズ」(本社・東京)と業務提携する形での参入を検討している。2022年中にも提携の枠組みを詰め、サービスを始めたい考えだ。
日本郵政は、全国に約2万4000の郵便局と約10万人の配達員を抱えている。配達員の目視やカメラ、センサーを搭載した配達用バイクなどで、詳細な情報を収集。道路状況の変化や店舗の開店・閉店などがあれば、速やかに反映させる。
配送で23年にも実用化するドローンから得た情報を生かす。地上からでは把握が難しい中山間地での道路や建物の情報も集める。人工衛星関連の企業をはじめ出資先との連携で、立体的な地図作りも目指す。
将来的には、郵便事業を通じて集めた顧客データを生かすことも視野に入れている。デジタル地図に居住者の人数などを盛り込むことができれば、付加価値が高まるとみている。
ただ、郵便法は、郵便事業で得た情報を、郵便以外の事業で使うことを禁じている。日本郵政グループは、利活用を巡る総務省の有識者会議の議論を踏まえたうえで、提供するサービスの範囲などを判断する。
デジタル地図は、自動運転や無人配送など、次世代サービスを展開する上で欠かせないインフラと位置付けられる。米グーグルは、スマートフォンの利用者から集めた膨大な位置情報を活用し、世界的にサービスを提供している。日本郵政の参入で競争が激しくなることも予想される。