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内閣府が15日発表した2023年の名目国内総生産(GDP)は591兆4820億円だった。ドル換算すると、4兆2106億ドルとなり、ドイツよりも2400億ドル少なく、世界4位に転落した。同時に発表された23年10~12月期の実質GDP(季節調整値)速報値は前期比0・1%減で、2四半期連続のマイナス成長となった。
名目GDPは、円ベースでは過去最高額となったが、円安が進んだことから、ドル換算では目減りした。ドイツは、ロシアのウクライナ侵略によってエネルギー価格が高騰して、インフレ(物価上昇)に襲われ、名目額を押し上げた。
日本の国民総生産(GNP)は、高度経済成長期の1968年に旧西ドイツを抜き、長い間、米国に次ぐ2位だった。リーマン・ショック後の2010年には中国に抜かれて3位となり、この数年は550兆円台で推移していた。GDPは労働人口の数に左右されるが、人口規模で3分の2のドイツに抜かれたことになる。
国際通貨基金(IMF)は、名目GDPの順位の入れ替わりは、為替レートの変動が主な要因だとした上で、物価水準を考慮すれば、日本のほうが経済規模は大きいとの見方を示している。
23年10~12月期の実質GDPについて、前期比のペースが1年間続くと仮定した年率換算は0・4%減だった。2四半期連続のマイナス成長は18年10~12月期以来、5年ぶり。市場の多くは、プラス成長を見込んでいた。物価の高止まりで個人消費が前期比0・2%減だったほか、設備投資は0・1%減、住宅投資が1・0%減など、内需の鈍さが目立った。
◆ 名目GDP =国内で一定期間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計。実際に取引されている価格に基づいて推計されるのが名目で、生活の実感に近い。ある年の価格水準を基準として物価変動の影響を除いたものが実質となる。各国比較では名目の実額が使われ、実質の変動率で景気の動きをみる。