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企業で働く人の3人に1人が、過去3年間にパワーハラスメント(パワハラ)を経験しているという。同僚がパワハラに悩む姿を目にするうちに、周囲の人までもが心身に不調を来してしまう「間接的被害」を訴える声も上がり始めた。産業医で、働く人のストレス問題に詳しい武神健之さんが解説する。
職場の「いじめ・嫌がらせ」などのパワハラ問題が深刻化しています。
厚生労働省によると、昨年度、全国の労働局などに寄せられた労働相談では、パワハラなどの「いじめ・嫌がらせ」は前年度比6.5%増の7万917件に上り、「解雇」や「退職勧奨」などを大きく引き離して5年連続のトップとなりました。
最近、私のもとにはパワハラの間接的被害についての相談も寄せられています。「長時間、
怒られてるのは同僚なのに……怖い
「最近、上司の声が怖いんです。同僚を怒っている声を聞くと、怖くて涙が出てきそうになるんです」
金融機関で働くAさん(30代女性)が、私のところに面談に来たのは昨年12月のことでした。
その数か月前、Aさんの部署に新部員としてBさん(40代女性)が加わりましたが、この人が部長(50代男性)のターゲットにされてしまったそうです。毎日のように目の前で大声を上げられ、その内容も仕事の進め方についての改善指導だけでなく、容姿や性格に関することにまで及んだといいます。
ただ、他の部員にはそうした態度を取ることはなかったので、Aさんは「(Bさんが)かわいそう」と思いつつも何も言わずにいたそうです。他の部員たちも同じでした。Aさんの部署では、その後もBさんだけが部長に
そのうちに、傍観していたAさんの身に異変が起きます。
部長がBさんを怒鳴る声を聞くと、自分が責められているわけでもないのに恐怖を覚えてしまう。Bさんが一人で耐えている姿を見ているうちに、自分も
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