求む、世界で活躍する文系人材…海外と連携しAIやSDGs研究行う大学院を支援へ

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 文部科学省は、海外の大学院と連携しながらAI(人工知能)やSDGs(持続可能な開発目標)といった社会課題に取り組む人文・社会科学系大学院の研究体制を強化する。国際舞台で活躍する文系人材の育成が狙いだ。法学部や文学部などをもつ人文・社会科学系大学院は理系の大学院と比べて実社会との結びつきが薄く、社会のニーズに応えきれていないとの指摘が出ていた。

 近年ではAIをはじめ、ウェルビーイング(心身が健康で幸福な状態)や環境や社会に配慮した商品を選ぶ「エシカル消費」などについて、法制度や倫理面の研究が世界的にも重要視されている。

 一方で、人文・社会科学系の大学院では院生の研究テーマが深くて狭い傾向がみられ、産業界との連携も進まず、社会の課題を共有しにくい側面があった。

文部科学省
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 そのため、文科省は今年度から、国内の大学院や産業界と連携し、社会課題の解決に取り組む人文・社会科学系大学院への支援を始めた。龍谷大(京都市)と琉球大(沖縄県)、京都文教大(京都府)の大学院は支援を受け、2025年度から地域の課題を解決する人材育成をめざし、共同の教育研究プログラムを始める。

 さらに、来年度からは海外の大学院や国際機関とネットワークを作って社会の最新課題を研究する人文・社会科学系大学院に支援を広げる。

 海外の大学院と相互に学生や教員を派遣し、国際学会で共同発表を行ったり、外国語での論文執筆を増やしたりするなど研究体制を整える。6年にわたり、年間最大4000万円補助する計画で、来年度に4校を公募する。

 文科省が人文・社会科学系大学院の機能強化を図る背景には、修士課程への進学者が少ないこともある。理工学系が40%前後で推移しているのに対し、人文科学分野は4%、社会科学分野は2%程度にとどまる。海外と比べても、国内の人文・社会科学系の大学院進学率は極めて低く、原則修士号の取得を条件とする国連の関係機関で働く日本人の少なさにも影響しているという。

 文科省の担当者は「国際社会が抱える複雑な課題について、日本の知見を生かせるよう研究環境を充実させたい」とし、国際機関で働く人材を今後増やしていく方針だ。

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