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学生実践 いじめや不登校予防 期待
いじめや不登校を防ぐため、大学生が心理学の側面から小学生にアプローチする県教育委員会の取り組みが2023年度、県内5小学校で行われた。実践校では、自己肯定感を高めるためのプログラムなどが実施され、「人間関係を考えるきっかけになった」などと好評だった。県教委は24年度も続け、実践校以外にも取り組みの効果を広めたい考えだ。(倉岡明菜)
県教委 5小で取り組み
取り組みは「心理教育を活用した予防的支援事業」。帝塚山大(奈良市)の学生が22年度、県の公開コンペで提案して最優秀賞を受賞し、23年度に事業化した。心理教育は子どもの心の健康をサポートする手法で、いじめや
同大学は昨年4月、心理学部生約20人でつくるプロジェクトチーム(PT)を設置。実践校の5校は非公開だが、学生が同7~8月頃に訪れ、児童のストレスを発散させる方法などニーズを聞き取り、授業内容を構成した。担任向けに授業のリハーサルを行う事前準備をして、授業当日は5、6年生を対象に実施した。
児童の自己肯定感を向上させることを要望した実践校では「『こころのものさし』ってなんだ?」をテーマに授業。3分でできるカップラーメン、いつ食べる?▽無人島に持っていくなら?▽教室で友達が泣いていたら――の質問への回答を、児童に4択から選ばせ、インタビュアー役の学生がその理由を尋ねた。学生は前向きな声掛けを心がけ、インタビューする児童の意見を認めるよう取り組んだ。
参加児童からは「一人一人のものさしを尊重してあげることが大切だと思った」「これから話す時、聞く時に生かしたい」などの声が寄せられたという。PT代表の3年福西由未さん(21)は「チームワークの大切さを知り、自分たちも成長できた。授業は1回だったが、今後につなげてもらえるとうれしい」と話した。
他の実践校では、感情のコントロールや自己中心的な考えを減らすなどをテーマに授業が実施された。
県は24年度当初予算案に事業費150万円を計上しており、新年度も実施される見込み。県教委の担当者は「児童が楽しんで取り組む姿は印象的だった。心理教育の有用性を広めていきたい」としている。