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大津市で保育園児ら16人が車同士の衝突に巻き込まれて死傷した事故から2年になるのを前に、遺族ら11人が7日、片方の運転手を不起訴とした検察の判断を不服として、大津検察審査会に審査を申し立てた。交通事故で年間35万人以上が検挙されるが、起訴に至るのは1割程度で、遺族らが審査を求めるケースは多い。
事故は2019年5月8日朝、大津市の県道交差点で起きた。乗用車の女(54)が安全を確認せずに右折し、対向車線を直進してきた軽乗用車と衝突。軽乗用車が弾みで園児らの列に突っ込み、当時2歳の園児2人が死亡するなどした。
軽乗用車を運転していた女性(64)も女(実刑確定)とともに逮捕され、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で書類送検された。しかし、大津地検は19年6月、青信号で前方不注意もなかったなどとして、女性を不起訴(嫌疑不十分)とした。
7日朝に大津検察審査会に審査を申し立てた後、大津市内で記者会見した弁護団の石川賢治弁護士は「不起訴は納得できない」などとする遺族らの思いを紹介し、「被害者の心情に耳を傾け、寄り添った判断を」と訴えた。
最高裁によると、19年に検察審査会で審査対象になったのは1797人。うち同法違反が186人で、罪名別では傷害(197人)に次いで多かった。
交通事故を巡って申し立てが相次ぐ背景には起訴率の低さがある。犯罪白書によると、19年には38万1237件の交通事故が起き、過失運転致死傷容疑などで37万8182人が検挙された。起訴(略式起訴を含む)されたのは12・4%で、起訴率は10年以上、1割前後で推移している。