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法務省は、懲役と禁錮の両刑を一元化して「拘禁刑」を創設するため、刑法などを改正する関連法案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。懲役の受刑者に一律に刑務作業を義務づけるなどとしている現行法を見直す。受刑者の特性に合わせ、作業や教育を柔軟に組み合わせた処遇を行えるようにし、再犯防止や更生を促す狙いがある。改正が実現すれば、明治40年(1907年)の制定以来、115年ぶりに刑の種類が変更される。
改正案での拘禁刑の規定は、▽受刑者を刑務所などの刑事施設に拘置する▽改善更生を図るため、必要な作業を行わせたり、必要な指導を行ったりする――といった内容になる見通し。
現行の刑法には、刑の種類として死刑、懲役、禁錮、罰金などが設けられ、懲役は木工や印刷などの刑務作業が義務づけられている。
しかし、近年は作業の実施が困難な高齢受刑者が増加。若年受刑者も含め、作業時間の確保に縛られ、再犯防止に向けた教育プログラムや指導を受ける時間が限られてしまうとの課題も指摘されるようになった。
一方、作業が義務づけられていない禁錮で入所する受刑者も、「何もせずに過ごすのはかえって苦痛だ」といった理由から、約8割は自ら希望して作業をしている。24日に公表された今年の犯罪白書によると、昨年入所した受刑者の99・7%(1万6562人)が懲役だったのに対し、禁錮は0・3%(53人)と少ないこともあり、禁錮を刑罰として維持する必要性は薄れていた。
こうした現状を踏まえ、法制審議会(法相の諮問機関)は昨年10月、3年余りの議論を経て、新たな刑を創設する要綱を決定し、法相に答申。同省で法案化の準備を進めていた。
また、法制審では刑の名称が示されなかったため、同省は今年9月下旬、学者や犯罪被害者らとの意見交換会を実施。「自由
拘禁刑の創設に伴い、懲役・禁錮の規定が明記されている全ての法律も改正される見通し。自治体の条例も変更する必要が生じるため、施行には成立後3~5年程度の準備期間が設けられるとみられる。同省は、拘禁刑を科された受刑者を更生させるため、実際にどのような処遇を行うかの検討も進めることになる。