岸田内閣が発足 新閣僚20人の横顔を紹介 

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記念撮影に臨む岸田首相ら(4日夜、首相官邸で)=源幸正倫撮影
記念撮影に臨む岸田首相ら(4日夜、首相官邸で)=源幸正倫撮影

 自民党の岸田文雄総裁は4日、国会で第100代首相に指名され、皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て岸田内閣が発足した。

 新内閣では、細田派の松野博一官房長官に内閣の要の役割を託し、麻生派の鈴木俊一財務相、再任となる竹下派の茂木敏充外相、細田派の岸信夫防衛相など、重要閣僚は自民党の主要派閥から起用した。一方で、「老壮青」のバランスを重視し、全20閣僚のうち13人が初入閣となった。(似顔絵・小河原智子)

熊本被災 支援に奔走…総務 金子恭之

 官房副長官を務めた園田博之元衆院議員の秘書などを経て、2000年衆院選に無所属で初当選。自民党では、主に国土交通行政に取り組んできた。昨年7月の熊本豪雨で地元が被災し、政府に支援を働きかけた。災害・治安対策の強化がライフワークで、信条は「地域の繁栄なくして国の繁栄なし」。日々の活動などを積極的にツイッターで発信している。気分転換は映画観賞。(60歳。自民、岸田派)

一本気「永ちゃん」好き…法務 古川禎久

 旧建設省出身で、財務副大臣を務めた。2度の落選を経て、2003年の衆院選で初当選した。05年衆院選では、郵政民営化に反対し、無所属で勝ち上がった。18年の自民党総裁選では石破派事務総長として陣頭指揮を執ったが、9月の総裁選後に派閥を退会した。周囲からは、「一本気で、すぐ熱くなるのが難点」という評がある。歌手の矢沢永吉さんの熱狂的なファン。(56歳。自民、無派閥)

国際会議で積極発言…外務 茂木敏充

 商社社員や読売新聞記者などを経て政界入りした。外相として新型コロナウイルスのワクチン輸入に尽力。英語力に定評があり、各国の首脳らが集まる国際会議では積極的な発言で存在感を示す。実務能力の高さは永田町でも指折りとされ、自民党内では首相候補の一人と目される。「優秀であるが故に、他人に厳しい」との評も。コロナ禍で会食を控え、自宅で料理することが息抜きだ。(65歳。自民、竹下派)

進んでアイロンがけ…財務・金融 鈴木俊一

 父は鈴木善幸元首相で、義兄は麻生太郎元首相。環境相や五輪相のほか、父が通算10期務めた自民党総務会長を自らも経験した。物腰が柔らかく、丁寧な総務会運営には定評があった。父が所属した宏池会(現・岸田派)にルーツを持ち、麻生派などと合流する「大宏池会」構想に前向きだ。総裁選では岸田首相の推薦人だった。料理好きで、家庭ではアイロンがけをいとわない。(68歳。自民、麻生派)

野党と審議折衝に汗…文部科学 末松信介

 兵庫県議だった父を見て育ち、小学校の卒業文集に「政治家になりたい」と記した。名前は、父が岸信介元首相にあやかった。27歳で同県議となり、約20年の地方議会経験を経て、国政に転じた。自民党参院国会対策委員長を2年間務め、野党との法案審議を巡る折衝に懸命に汗を流してきた。文部科学行政は、「門外漢」(周辺)とされており、力量が問われる。(65歳。自民、細田派=参院)

コロナ対策 提言作成…厚生労働 後藤茂之

 旧大蔵省出身の政策通。自民党政調会長代理として新型コロナウイルス対策の提言作成に携わった。党税制調査会でも「インナー」と呼ばれる主要メンバーに名を連ねる。2000年に民主党公認で初当選。01年のテロ対策特別措置法の採決で党の方針に反して賛成票を投じ、無所属を経て03年に自民党に移った。当選6回で念願の初入閣。趣味はクラシックなどの音楽鑑賞や書道。(65歳。自民、無派閥)

元長崎知事 父は農相…農林水産 金子原二郎

 農相を務めた父の背中を追って政治家を志した。衆院議員5期、長崎県知事3期を務め、2010年に参院議員に転じたベテラン。衆院議員の初当選同期には大島衆院議長らが並ぶ。参院予算委員長を約3年務め、それまでの最長記録(約1年10か月)を更新。委員会審議では、答弁が不十分な閣僚を 叱責しっせき した。知事時代には「ワンマン」と、職員から恐れられた一面もある。(77歳。自民、岸田派=参院)

安倍氏最側近の1人…経済産業 萩生田光一

 東京都八王子市議や都議を経験したたたき上げ。安倍内閣では官房副長官を務め、安倍晋三元首相の最側近の一人とされる。文部科学相として、約40年ぶりとなる公立小学校の少人数学級化を実現。新型コロナウイルスのワクチン接種拠点に大学を活用するなど、政策実現の手腕に定評がある。過去には大学入学共通テストなどを巡って、強気の発言が物議を醸したこともある。(58歳。自民、細田派)

優しすぎる鉄ちゃん…国土交通 斉藤鉄夫

 公明党政調会長や幹事長の要職を歴任。軽減税率の導入や新型コロナウイルス対策としての現金給付の実現を主導した。東工大院出身で、建設会社員時代には宇宙開発を担当したことがある。岸田首相とは、同じ衆院旧広島1区で初当選した同期。現在は比例選出だが、次期衆院選では広島3区で出馬予定だ。自他ともに認める鉄道マニア。「優しすぎて押しが弱い」との評もある。(69歳。公明)

中国古典 原書で読破…環境 山口壮

 外交官として米国や英国、中国などでの勤務経験を持ち、シェークスピアや中国の古典を原書で読む。民主党政権では外務副大臣などを歴任。外交政策などを巡り民主党に限界を感じ、無所属を経て、自民党に入党した。選挙手法に一家言あり、後援会作りを若手に伝授している。二階派では事務総長を務める。民主党時代に行った自民批判を冷ややかに見る向きも。趣味はテニス、スキー。(67歳。自民、二階派)

海外駐在 幅広い人脈…防衛 岸信夫

 岸信介元首相の孫で、安倍晋三元首相の実弟。生後間もなく岸家の養子となった。21年間勤めた商社では食糧部門を担当した。米国やベトナム、豪州での駐在経験もある。長年、台湾との交流を続け、 蔡英文ツァイインウェン 総統らと幅広い人脈を持つ。8月には現職閣僚として靖国神社を参拝。海洋進出の動きを強める中国に対し、国防のかじ取り役としての手腕が引き続き試される。(62歳。自民、細田派)

「給付型奨学金」実現…官房・拉致問題 松野博一

 会社員から松下政経塾を経て、政界入りした。文部科学相で初入閣して以来、5年ぶりの入閣。ライフワークとして雇用、教育政策に取り組み、文科相時代には低所得世帯の大学生らを対象とする「給付型奨学金」を実現した。6月には安倍晋三元首相が自民党総裁の「有力な候補者」の一人として月刊誌で名前をあげた。安定感の高さは折り紙付きで、今後はスポークスマンとしての力も求められる。(59歳。自民、細田派)

野生鳥獣のハンター…デジタル・行政改革・規制改革 牧島かれん

 衆院当選3回での初入閣となり、岸田内閣では最年少。父は神奈川県議。河野洋平元衆院議長から選挙区を引き継いだ。菅内閣の看板政策のデジタル化推進に向けて、自民党の推進本部事務局長で携わり、デジタル相に白羽の矢が立った。昨年は、女性で初めての党青年局長にも起用された。野生鳥獣の肉「ジビエ」の活用に熱心に取り組んでおり、わなを使った狩猟の免許を持つ。(44歳。自民、麻生派)

「辺野古」野党と対決…復興・沖縄・北方 西銘恒三郎

 父は沖縄県知事、兄は参院議員を務めた政治家一家。同県議を4期務めた後、2003年に衆院に初当選した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る19年の県民投票では、自民党県連内に異論もある中、同飛行場全面返還を実現する立場から「賛成」を訴え、野党との対決姿勢を鮮明にした。中高で野球部、上智大では柔道部に所属した「体育会系」。仕事ぶりで存在感発揮を目指す。(67歳。自民、竹下派)

少年時代「首相ごっこ」…国家公安・防災 二之湯智

 京都市議(当選5回)や全国市議会議長会長を経験。野中広務・元自民党幹事長の後援会幹部も務めた。少年時代は、机に乗って吉田茂元首相の演説のまねをしていた。総務副大臣などを歴任し、地域活性化に注力してきた。若年世代の留学を支援するなど「国際派」の一面もある。改選を迎える来年夏の参院選には不出馬を表明した。残りの任期で実績を残せるか、注目される。(77歳。自民、竹下派=参院)

豪快 日本酒で乾杯…少子化・地方創生・女性活躍 野田聖子

 1998年の小渕内閣で郵政相に抜てきされ、当時戦後最年少の37歳で入閣した。その後も総務相や党総務会長などを歴任。2005年に郵政民営化に反対し、衆院選では自民党に「刺客」候補を立てられる苦難も味わった。女性向け政治塾を開くなど女性活躍がライフワークだ。豪快な性格が持ち味だが、率直な発言は時に周囲の反発を招くこともある。日本酒を愛好している。(61歳。自民、無派閥)

獣医師開業後 政界へ…経済再生 山際大志郎

 獣医師として動物病院を開業後、自民党の公募を経て政界入りした。経済産業副大臣や党経産部会長を歴任した商工族で、エネルギー政策などに明るい。甘利幹事長の右腕で、2017年に甘利氏らとともに麻生派に入会した。大学時代にクジラを研究した経験から、捕鯨問題にも取り組む。裏表のない性格で、突破力に定評があるが、時に周りが見えなくなるとの人物評もある。(53歳。自民、麻生派)

東大ボート部元主将…経済安全保障 小林鷹之

 サラリーマン家庭の出身。日本屈指の進学校で、岸田首相の母校でもある私立開成高校を卒業した。東大在学中はボート部で合宿生活を経験し、主将も務めた。財務官僚時代には、1等書記官として在米日本大使館に出向。国際社会で日本の存在感が著しく低下していると感じたことが政治を志すきっかけとなった。当選3回での初入閣となり、指導力が問われそうだ。趣味はマラソン。(46歳。自民、二階派)

美術館長・子育て両立…ワクチン・五輪 堀内詔子

 自民党総務会長などを歴任した義父・堀内光雄氏の引退に伴い、政界入りした。美術館長の仕事をしながら2人の息子を育てた経験から、子育て政策などに力を入れてきた。柔らかな物腰で知られる一方、衆院選では、激しい保守分裂選挙を3度戦った。昨年の党員獲得数は全議員中の2位。国民の関心が高い新型コロナウイルスのワクチン担当に就任し、丁寧な説明が課題となる。(55歳。自民、岸田派)

森林でリフレッシュ…万博・消費者 若宮健嗣

 防衛、外務の両副大臣を務め、外交・安全保障分野に精通する。大学卒業後、セゾングループで堤清二代表(当時)の秘書などを務めた。2005年衆院選で、比例単独候補として初当選した。自民党本部近くの小学校に通い、少年時代から政治を身近に感じていた。手堅い仕事ぶりは党内で評価が高く、今度は閣僚としての指導力も求められそうだ。森林浴とスポーツ観戦が趣味。(60歳。自民、竹下派)

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2418418 0 政治 2021/10/05 05:00:00 2022/11/04 10:46:09 2022/11/04 10:46:09 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211005-OYT1I50058-T.jpg?type=thumbnail

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