志賀原発、変圧器故障など複数トラブル…北陸電「新しい知見に基づき安全対策講じる」

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 志賀原子力発電所(石川県志賀町)は、元日の能登半島地震で、外部から電気を受ける変圧器が壊れるなど、いくつものトラブルが発生した。北陸電が、2026年を原発再稼働の当面の目標とする中、地震へのいっそうの備えが求められている。

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 北陸電の松田光司社長は1月31日の記者会見で「必要な設備や機能は担保されている」と述べ、放射能漏れなどの心配はないことを強調した。

 その一方で、敷地内では地震後、トラブルが続発した。変圧器の配管が破れて、絶縁や冷却用の油が漏出。1月末現在で3系統5回線ある送電線のうち1系統2回線が使えない状態だ。変圧器は部品が手に入らず、修理の見通しは立たない。

 松田社長は「非常用の電源車やディーゼル発電機が備わっている」と述べ、発電所内への電力供給に支障はないとの見解を述べた。ただ、元来これらの非常用電源は、鉄塔が倒れるなどして外から電気が受け取れなくなった状況を想定している。

能登半島地震で再稼働に向けた審査の長期化が見込まれる北陸電力志賀原発(1月3日、石川県志賀町で、読売ヘリから)=佐藤俊和撮影
能登半島地震で再稼働に向けた審査の長期化が見込まれる北陸電力志賀原発(1月3日、石川県志賀町で、読売ヘリから)=佐藤俊和撮影

 変圧器は耐震クラスCの製品で、現状入手できるうち最も強い揺れに耐える仕様だという。それが壊れたことは、原発が受けた揺れの大きさを示す。

 元日の地震では、震度7を観測した志賀町の富来地区で加速度2800ガルを記録している。北陸電は、元日の地震で、原子炉直下で観測した加速度は399ガルだったことを挙げ、「安山岩を主体とする敷地の地下は富来地区と比べ強固なため、同じような大きな揺れが届かない」と強調する。原子炉は1000ガル程度に耐えれば十分との立場で原子力規制委員会の安全審査に臨んでいる。しかし、北陸電によると、耐震クラスCの変圧器は500ガルまで耐えられる仕様で、変圧器のトラブルは北陸電の主張や立場を揺るがしかねない。

 元日の地震は、海域のいくつもの断層が連動して動いたとされる。その長さは150キロ・メートルにわたり、これまで北陸電が想定していた規模を上回る。松田社長は記者会見で「新しい知見に基づいて安全対策を講じる」と語った。

 原子炉は、立地場所での「最大の揺れ」に対して安全が維持されなければならない。原子力規制委による今後の審査でも、最大の揺れが焦点となる。

 当初の見出しが記事の趣旨を的確に反映していなかったため変更しました。

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