完了しました
原子力発電所の活用への考えを日米英3か国で同時に聞いたところ、日本では賛否を示さない人が多く、若年層ほどその傾向が強まることが、長岡技術科学大の山形浩史教授(安全工学)の調査でわかった。政府は原発を最大限活用する方針を掲げるが、山形教授は「若年層を中心にわかりやすい情報発信が必要だ」としている。
原発に関する世論調査は各国で個別に行われ、その結果を正確に比較することは難しかった。そこで山形教授は昨年2月、日米英3か国で、同じ質問による同時調査を実施。15~99歳の日本2600人、米英各1300人を対象とした。
調査の結果、「既設原発の利用」に賛成(「大いに賛成」「賛成」)と回答した人は米国66%、英国72%に対し、日本は37%だった。「国内での原発の新設」に賛成の人も米国59%、英国63%に対し、日本は24%で、いずれも日本は米英に比べて賛成の割合が低かった。
日本では、既設原発の利用、原発新設とも「どちらとも言えない」と答えた人の割合が40%を占め、米英の約2倍だった。
賛否を示さない割合は年齢が下がるごとに増えた。例えば、既設原発の利用では、70歳代以上で28%だったが、50歳代では42%、20歳代では48%を占めた。
山形教授は、「東京電力福島第一原発事故で原子力への不安感が続いている」と指摘した上で、賛否を示さない割合が多かったことについて「政府や電力会社は、原発について難解な専門用語を避けた説明を心がけ、特に若年層を意識したインターネットなどを通じた情報発信の強化が重要だ」と話す。