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【ニューヨーク=淵上隆悠、大藪剛史】国連安全保障理事会は20日、ウクライナ情勢に関する首脳級会合を開いた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、侵略を続けるロシアを厳しく非難するとともに、ロシアの拒否権行使で機能不全に陥っている国連の改革を訴えた。
昨年2月のロシアのウクライナ侵略開始後、ゼレンスキー氏が安保理会合に対面で出席するのは初めて。各国に先立って演説したゼレンスキー氏は、「ロシアは少なくとも数万人のウクライナ人を殺し、家屋を破壊して数百万人を難民にした」と強調した。「世界のほとんどは、この戦争がウクライナの領土と資源を奪うための犯罪的な侵略と理解している」とも指摘した。
ゼレンスキー氏はロシアの侵略を止められなかったとして、「人類はもはや、国連に期待することができない」と述べ、国連改革を急ぐよう求めた。常任理事国のロシアから拒否権を
常任理事国を拡大し、日本やドイツ、インド、アフリカ連合(AU)などを加えるべきだとも主張した。
一方、ロシアは、ラブロフ外相が「ウクライナの崩壊は、西側諸国が全責任を負っている」などとする主張を展開した。拒否権を不当に行使しているとの批判に対しては、「米国と同盟国が公然と国連を私物化している」と反発した。
会合では、ゼレンスキー氏とラブロフ氏がそれぞれの発言の際に離席し、顔を合わせることはなかった。ただ、会合開始前にロシアの国連大使がゼレンスキー氏が安保理理事国よりも先に発言することに異議を唱え、議長国のアルバニアの首相と口論になる場面があった。
会合には岸田首相も出席し、ロシアのウクライナ侵略について「ただちに停止し、即時、無条件に軍を撤退させなければならない」と訴えた。「世界の現実をよりよく反映させなければならない」として、安保理理事国の拡大を求めた。