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【ニューヨーク=山本貴徳、金子靖志】米国のトランプ前大統領(77)が不倫の口止め料を不正処理したとされる刑事裁判は、ニューヨーク州地裁で15日に初公判が開かれた。有罪か無罪かを判断するのは陪審員で、トランプ氏の腹心だった当時の顧問弁護士の証言がカギを握るとみられている。
陪審員には市民から12人が選ばれ、評決は全会一致が求められる。検察側とトランプ氏側は、陪審員を納得させる主張を展開できるかどうかが問われる。
検察側は、トランプ氏が2016年大統領選を前に醜聞を隠すため、当時の顧問弁護士のマイケル・コーエン氏を通じて、不倫関係にあった元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏に口止め料を払ったと事件の構図を描いている。コーエン氏は検察側との司法取引に応じて罪を認めており、トランプ氏の「指示」を証言する見通しだ。
これに対し、トランプ氏側はコーエン氏が独断で払ったとしており、不倫関係についても否定している。
地裁のあるニューヨークのマンハッタンは民主党支持者が多く、トランプ氏に不利との見方が多い。米紙ニューヨーク・タイムズによると、陪審員候補として15日に呼び出された約100人のうち、半数以上はトランプ氏に対し、公正で公平な態度をとれないと申告して除外されたという。
トランプ氏は11月の大統領選で共和党候補指名を確実にしているが、有罪になれば、大統領選への影響は避けられそうにない。ロイター通信などが4月に公表した世論調査では、共和党支持者の4人に1人、無党派層の半数が、トランプ氏が重大な犯罪で有罪となれば投票しないと答えた。
地裁周辺では、トランプ氏の支持派と反対派がデモを行った。トランプ氏を支持する会社員男性(41)は裁判に関し、「バイデン政権による権力の乱用で、恥を知るべきだ」と憤った。反対派のデモに参加した主婦の女性(64)は「民主主義を揺るがすトランプ氏に、出馬は許されない」と語った。