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迷惑行為は無くなるのか?

【独自解説】飲食店での迷惑行為を無くすには?「SNSの永久使用禁止措置」「厳しい非難」必要な教育と対応を専門家が提言

 相次ぐ回転寿司店での迷惑行為。回転寿司チェーン「スシロー」は、“しょうゆのボトルや湯飲みを舐める”などの迷惑行為を撮影した「不適切動画」がネット上に拡散したことから、警察に被害届を提出し、動画が撮影された店舗を公表しました。迷惑動画の炎上被害は、他の飲食店にも広がっています。今後はどのような対策がなされるのでしょうか?迷惑行為への法的な対処について、清原博弁護士が解説します。

迷惑行為で問われる罪、損害賠償は?

「スシロー」の対応

 1月31日、「スシロー」の親会社は迷惑行為の動画がSNS上に掲載されたことについて、警察に被害届を提出しました。担当者は「本人と保護者から謝罪を受けたが、民事・刑事で厳正に対処する」としています。さらに、迷惑行為の動画が撮影された店舗を公表しました。

 当該店舗である岐阜県岐阜市の「スシロー岐阜正木店」を来店した客に話を聞くと、「ここだと思っていなかったのでびっくりした」「よく来る店舗だったので、自分が使っていたしょうゆがもしかしたらそうなのかと不安に思った」「回らなくなると楽しさがなくなる。厳正に処罰された方がいいと思う」などの声があがりました。

 当面の防止策として、全店舗を対象に、テーブルに備え付けの食器や調味料に不安を感じるという申し出があれば、別途保管している消毒済みのものに交換するなどの対応、レーンと客席の間の一部にアクリル板を設置するということです。

清原博弁護士

Q.厳正に対処するということですが、まず刑事事件はどのような内容になるのでしょうか?
(清原博弁護士)
「恐らく『器物損壊罪』と『業務妨害罪』に問われると思います。例えば“しょうゆ差しを舐める”というのは、もう使えないので捨てるということで器物損壊ですし、お店に色々な迷惑をかけているため、業務妨害です。今回、刑事の被害届を出しているのは当たり前で、撮影者など他の共犯者がいる可能性があるので、たとえ一人が謝罪に来てもまだ他にいるかもしれないのであれば、警察に探して欲しいと思うのは当然です。民事の場合も同じで、共犯者がいるなら共犯者全員を訴えて損害賠償請求をするということになりますので、まだ事案の解明には至っていないのです」

Q.損害賠償となると、客の減少や親会社の株価下落など、莫大な額になると思いますが?
(清原弁護士)
「舐められたしょうゆ差しを取り替えたり、湯のみや回転レーンの消毒にかかった費用などは直接的な損害なのでいいのですが、売り上げの減少や株価の下落については、請求が難しいです。しかし因果関係が認められるようになれば、請求できるかとは思います」

「スシロー」回転レーンは存続の予定

 今後の方針について「スシロー」の親会社の担当者は「回るお寿司は、お子さんなど楽しみにしている人も多いので、そこは守りたい」とし、回転レーンがなくなる予定は「現状ない」としています。「今後も安心してお寿司を食べていただきたいので、できることを実施していきたい。皆様に応援していただければ大変ありがたいです」ということです。

「はま寿司」の今後の取り組み

 一方、他の客が頼んだ寿司の皿に“勝手にワサビを載せる”などの迷惑行為を受けた「はま寿司」は、タブレットで注文した商品を客の席に高速で運ぶ「ストレートレーン」を導入しています。現在は約9割の店舗で導入しており、今後全店舗で「ストレートレーン」に切り替える予定だということです。広報担当者は「今回、ストレートレーンでワサビを載せられる迷惑行為があったので、同様の被害を防ぐための今後の対応を検討中」としています。

人気うどんチェーンでも迷惑行為

北九州で人気の「資さんうどん」

 大手回転寿司チェーンで迷惑行為が続く中、被害はうどん店にも広がっています。今回被害に遭った「資さんうどん」は、福岡県北九州市を中心に50店舗以上展開する人気うどんチェーン店です。男性が店の共有スプーンで、無料提供の「天かす」をほおばる動画が拡散し、SNS上で批判が相次いでいます。

 2月2日、「資さんうどん」は、2月1日に福岡県警小倉北警察署に被害届を提出し、受理されたと報告し、迷惑行為についての対応・対策をホームページで公表しました。無料提供食材については、2月1日の午前中に中身を入れ替え、容器の洗浄・消毒をし、引き続き客席に設置するということですが、不安を感じる客に対しては、「天かす」と「とろろ昆布」は個包装で、「つぼ漬け」は皿に小分けしたものを提供するということです。

Q.「資さんうどん」の被害は、どんな罪に問われるのでしょうか?
(清原弁護士)
「罪名はスシローと同じで、スプーンなどはもう使えないでしょうから『器物損壊罪』、お店も迷惑をこうむっていますので『業務妨害罪』に当たると思います」

Q.このような飲食店には当然、防犯カメラなどはついていると思うのですが、防犯カメラというのは何かが起こったときに見直すものですから、今回のような事例だと、ネットで拡散されて分かってからでないと、見ることはないですよね?
(清原弁護士)
「そうだと思います。今回、スシローも含めて動画が拡散されたことで、こういった迷惑行為が分かったわけですが、こういう人たちはSNSに自分の顔が出ることを分かってやっていますから、防犯カメラに映ることも躊躇しないのだと思います。これでは防ぎようがないので、スシローのように厳しく対処する、こういった迷惑行為をすることは人生を棒に振る、というメッセージをどんどん発信して、若い人達にこういうことをやめさせるようにするしかないと思います」

専門家が提言する防止策

必要なのは教育と厳格な措置

 ITジャーナリストの三上洋氏によると、迷惑行為の防止策としてネットリテラシー教育が行われていて、2017年~2018年頃から、小・中・高校にSNS各社・インターネット各社が出向き、無料の出張授業を行い、使い方やデジタルタトゥーについての指導があるということです。三上氏は「迷惑行為をなくすには、インスタグラムのストーリー機能など、最新のSNSの事例を含めて教えるべきだ。また、SNSの運営会社が、永久使用禁止など厳しい措置を取るべきだ」と提言しています。

(清原弁護士)
「スシローの場合は、加害者が未成年者ということなので、自分のやっていることの意味や重さが分かっていない部分があると思います。もちろん保護者の指導も必要だと思いますが、メディアを通して我々が厳しく非難するということも効果があると思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」 2023年2月1日放送)

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