更新:2022.07.04

仲介手数料における「あんこ」とは?手数料の仕組みと注意点を解説

仲介 手数料 あんこ

不動産仲介会社を探しているときに、「あんこ」という単語を耳にして、

「あんこって一体なに?」

「仲介手数料にどう影響するの?」

と疑問に思ったこともあるのではないでしょうか。

不動産売買における「あんこ」とは、売り手側の不動産仲介会社と、買い手側の不動産仲介会社との間を、複数の仲介会社が取り持つことです。

不動産売買における「あんこ」とは、売り手側の不動産仲介会社と、買い手側の不動産仲介会社との間を、複数の仲介会社が取り持つこと

「あんこ」の状態では、売り手と買い手の間に多くの仲介会社が存在するため、「関わる会社の数が多い分、仲介手数料が高くなるのでは?」と不安になることがあるかもしれません。

結論を言うと、あんこのために、売り手や買い手の仲介手数料が高くなるということはありません。本文ではあんこの仲介手数料の仕組みや、あんこが仲介手数料に影響しない理由などについて解説します。

▼この記事で分かること

  • 仲介手数料における「あんこ」とは
  • 「あんこ」と他の不動産仲介との違い
  • 「あんこ」が起きる理由
  • 「あんこ」の仲介手数料への影響

[監修]宅地建物取引士

市野瀬 裕樹

中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。

目次

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    1. 仲介手数料における「あんこ」とは

    冒頭でも触れましたが、「あんこ」とは、売り手側の不動産仲介会社と買い手側の不動産仲介会社との間に、複数の不動産仲介会社が関わっている取引形態のことを言います。

    あんこについて、しっかり理解するために本章では

    • あんこの仕組み
    • あんこが生じる理由
    • あんこの仲介手数料

    について分かりやすく解説します。

    あんこの仕組みとあんこが生じる理由、仲介手数料請求の流れを把握することで、取引上の不安を払しょくすることができます。それでは実際に見てみましょう。

    1-1.「あんこ」の仕組み

    「あんこ」とは、不動産仲介方法の1つで、売り手側の不動産仲介会社と買い手側の不動産仲介会社との間に、1社以上の不動産仲介会社が関わることを言います。

    あんこのイメージは以下の通りです。あんこでない通常のケースと比較して、違いをよく確認しましょう。

    【あんこのイメージ】

    あんこのイメージ

    【通常の仲介取引のイメージ】

    通常の仲介取引のイメージ

    売り手側から直接売買仲介を依頼された不動産仲介会社を元付業者と言い、買い手側から直接売買仲介を依頼された不動産仲介会社を客付業者と言います。

    通常は、元付業者と客付業者が、1対1でやり取りを行います。あんこの場合は、この元付業者と客付業者の間に、1社以上の仲介会社が入り、不動産売買を手伝います。

    売り手と買い手から見ると、あんこ業者は元付業者と客付業者の背後にいて表向きからは存在が見えないため、まんじゅうのあんこに例えて「あんこ」と呼ばれます。

    1-2.「あんこ」が生じる理由

    あんこはインターネットが普及していなかった時代に必要とされた仲介形態です。

    インターネットが普及していなかった時代には、物件情報のやり取りにはチラシやFAXが主に使われていました。この時代においては、元付業者が多くの不動産会社に直接、物件の売り込みをかけていました。

    「あんこ」が生じる理由

    元付業者が直接売り込みをかけた不動産仲介会社で買い手が見つかればよいですが、そうとも限りません。元付業者が売り込みをかけられる不動産仲介会社の数にも限界があります。そのため、売り込みを受けた不動産仲介会社が、他の不動産仲介会社に物件情報を流すということがよくありました。

    この場合、最終的に買い手が見つかれば、間に入った不動産仲介会社(あんこ業者)には、元付業者や買付業者から手数料が支払われます。間に入って仲介を行う不動産仲介会社にも手数料というメリットがあったため、広く行われていました。

    あんこは、このように物件情報がインターネットで広く拡散できなかった時代に、必要な取引形態として存在していたものです。

    ただし、インターネットが普及した現在では、ほとんど見られない仲介形態と言えます。

    1-3.「あんこ」の仲介手数料

    仲介手数料については、あんこの場合、あんこ業者から直接売り手や買い手に仲介手数料を請求することはありません。

    あんこの場合の仲介手数料の流れを図示すると、下記の通りです。

    【あんこの仲介手数料の流れ】

    あんこの仲介手数料の流れ

    あんこの場合、売り手と買い手に仲介手数料の請求ができるのは、元付業者と客付業者のみです。なぜなら、通常、売り手や買い手と直接仲介契約を締結しているのは、元付業者と客付業者のみだからです。あんこ業者は契約外です。

    あんこ業者は、売り手や買い手に直接仲介を依頼されることなく仲介を行うため、あんこ業者が売り手や買い手に仲介手数料を請求する権利はありません。

    あんこ業者の仲介手数料は、元付業者と客付業者がそれぞれ売り手と買い手から受け取った手数料から、分配されることとなります。

    また、あんこ業者が間に入ったからといって、売り手や買い手の手数料の金額が高くなるということもありません。理由については、「4. たとえ「あんこ」だとしても仲介手数料に影響はない」で詳しく解説するため、参考にしてください。

    2.「あんこ」と他の不動産仲介との違い

    あんこの概要が把握できたところで、次に、あんこと、他の不動産仲介方法との違いを解説します。

    あんこ以外の不動産仲介方法には次の3つがあります。

    • 片手仲介
    • 両手仲介
    • 分かれ

    仲介会社とのやり取りで戸惑うことのないよう、あんこと他の仲介方法との違いを把握しておくようにしましょう。

    2-1.「片手仲介」との違い

    「片手仲介」とは、売り手側は売り手側専任の不動産仲介会社が仲介を行い、買い手側は買い手側専任の不動産仲介会社が仲介を行うことです。片手取引とも言います。

    片手仲介は、不動産売買仲介において一般的に行われているものです。仲介のイメージは下記の通りです。

    【片手仲介のイメージ】

    片手仲介のイメージ

    「片手仲介」の場合、売り手側の不動産仲介会社(元付業者)が売り手から手数料を取り、買い手側の不動産仲介会社(客付業者)が買い手から手数料を取ります。

    不動産会社が、売り手と買い手とそれぞれ片方から手数料を取るため「片手」と呼ばれます。

    片手仲介の場合、売り手側の元付業者と、買い手側の客付業者とが、1対1でやり取りするケースが大半です。

    インターネット上に物件情報を開示したくないといったようなまれなケースにおいてのみ、売り手側の不動産仲介会社と買い手側の不動産仲介会社の間に、複数の不動産仲介会社、つまり、あんこ業者が入る場合があります。

    「1-3.「あんこ」の仲介手数料の流れ」で述べた通り、あんこ業者が取引に関わった場合でも、あんこ業者が追加で売り手や買い手に手数料を請求することはありません。元付業者や客付業者が、売り手や買い手から受け取った仲介手数料を、元付業者、客付業者、あんこ業者との間で分け合うことになります。

    2-2.「両手仲介」との違い

    「両手仲介」とは、不動産仲介について、売り手側の仲介と、買い手側の仲介を、同じ1つの不動産仲介会社が行なうことです。両手取引とも言います。

    両手取引のイメージは下記の通りです。

    【両手仲介のイメージ】

    両手仲介のイメージ

    「両手仲介」の場合、1つの不動産仲介会社が、売り手側と買い手側の両方に仲介手数料を請求します。

    不動産会社が、売り手と買い手の両方から手数料を取るため「両手」と呼ばれます。

    不動産の仲介の方法としては、片手仲介が標準的な方法ですが、この両手取引も大手不動産仲介会社などで多く行われている方法です。

    両手仲介の場合、1つの不動産仲介が売り手と買い手の両方から手数料を徴収し、片手仲介の場合の2倍の手数料を受け取るため、悪いことをしているという印象を与えることがあります。

    しかし、両手仲介は決して悪いことではありません。両手仲介をしている不動産会社は、売り手と買い手の仲介業務をしっかりと行っているため、その対価として手数料を請求しているだけです。両手取引だからといって、売り手と買い手に多く仲介手数料を請求することもありません。

    両手仲介の場合は、不動産仲介会社1社で物件紹介などのやり取りが完結するため、あんこ業者の入る余地はありません。

    両手取引の場合、あんこは関わらないと言えます。

    2-3.「分かれ」との違い

    「分かれ」とは、売り手と買い手の仲介手数料を、不動産会社2社で分けることです。具体的には、元付業者が売り手から仲介手数料を取り、客付業者が買い手から手数料を取ることを指します。

    分かれは片手取引と同じ意味で使われます。

    【分かれのイメージ】

    分かれのイメージ

    「分かれ」は、元付業者が他の不動産会社に物件の買付依頼をする時に使う言葉です。

    「手数料を分かれにします」と元付業者が言う場合は、手数料を分けて取ることを意味します。具体的には、売り手からの仲介手数料は元付業者が取り、買い手からの仲介手数料は買付業者が取ることを示します。つまり、片手取引とすることを意味します。

    分かれは、片手仲介や両手仲介、あんこといった仲介の形態を示す単語でなく、元付業者が「この売買仲介取引については、片手取引でやりますよ」と指示するときに使う単語です。

    売り手や買い手に対する手数料への影響や、あんこ業者のとの関係については、「2-1. 「片手仲介」との違い」を参照するようにしてください。

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    3.「あんこ」は現在ほとんど起こらない

    あんこと他の仲介方法との違いについて把握できたことと思います。ただし、「あんこ」は今現在、実際に起きることはほとんどありません。

    以下では、あんこが現在ほとんど起きない理由について解説します。

    3-1.レインズの普及のため、あんこ業者の必要がなくなった

    あんこが、現在ほとんど見られない理由は、インターネットが普及し、物件情報がインターネットで確認できるようになったためです。

    インターネットが普及していなかった時代には、口コミなどで買い手や売り手を探すための情報収集をしていたため、不動産会社間のネットワークが重要でした。そのため、あんこ業者も多く見られました。

    しかし、現在はレインズ(REINS:Real Estate Information Network System)という不動産情報ネットワークシステムが整っています。不動産仲介会社はレインズを使い、オンライン上で物件情報を閲覧することができます。

    不動産会社のネットワークを通じて情報収集をしなくても、インターネット上で情報収集できるため、あんこの必要性がほとんどなくなったと言えます。

    このため現在、あんこはほとんど見られることがありません。

    3-2.物件情報を非公開にしたい場合は、あんこが行われる場合も

    現在ほとんど見られないあんこですが、売り手が物件を秘密裏に売りたい場合などには、あんこが起きることもあります。

    例えば、売り手が物件を売り出していることを広く知られたくない場合などには、インターネット上に物件情報を掲載せずに、不動産会社のツテで買い手を探す場合があります。

    こうした場合には、元付業者が不動産仲介会社に直接営業して売り込みをかけるため、「1-2.「あんこ」が生じる理由」で解説したように物件を売却するために複数の不動産会社が必要になり、あんこが起きる場合があります。

    ただし、元付業者があんこ業者と手数料を分け合うことを拒むケースもあり、そうした場合には、間に入るあんこ業者にメリットがないため、あんこは起きません。あくまで元付業者が直接、買付業者を探し、取引します。

    物件情報をあまり公開したくない場合などで、元付業者があんこ業者と手数料を分け合うことを認める場合にのみ、あんこの状態となることがあります。

    4. たとえ「あんこ」だとしても仲介手数料に影響はない

    「1-3.「あんこ」の仲介手数料の流れ」で述べた通り、あんこの場合でも、あんこ業者が売り手や買い手に直接仲介手数料を請求することはありません。

    とはいえ、「あんこ業者が背後にいる場合は、あんこの手数料を含めた高い手数料を元付業者や客付業者から請求されるのでは?」と不安になることもありますよね。

    結論を言うと、あんこ業者が仮に元付業者や客付業者の背後にいたとしても、仲介手数料が高くなることはありません。

    売り手と買い手の仲介手数料については、たとえ「あんこ」の状態になっていたとしてもほぼ影響はないと言えます。

    あんこの場合でも仲介手数料に影響がない理由を、次に紹介します。

    4-1.法律上、手数料の上限があるため影響はない

    売り手と買い手の支払う仲介手数料には法律上の上限があるため、あんこ業者が介入していても影響はないと言えます。

    売り手と買い手の支払う仲介手数料については、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律で、「不動産仲介会社はこれ以上の手数料を請求してはいけない」という上限が設けられています。

    法律で定められた仲介手数料の上限とは、下記の通りです。

    【仲介手数料の上限】

    仲介手数料の上限

    なお、不動産売買価格が400万円を超える場合は、簡易的に下記の計算式で上限が決められます。

    【(売買価格400万円超の場合)仲介手数料の上限】

    売買価格400万円超の場合

    仲介手数料については、売り手は元付業者から、買い手は客付業者から、上限の「不動産売却価格×3%+6万円+消費税」に相当する仲介手数料を請求されるケースがほとんどです。

    売り手と買い手は、すでに仲介手数料の上限を支払うことが確定しているため、それ以上の仲介手数料を請求されることは法律上、ありません。

    4-2.媒介契約で手数料の支払先が定められている

    売り手と買い手の支払う仲介手数料については、仲介を不動産仲介会社に依頼する際に締結する媒介契約に定められています。

    媒介契約とは、土地や戸建て、マンションなどの売買や賃貸借の仲立ちを依頼する契約のことです。媒介契約では、契約を結ぶ不動産仲介会社が仲介業務を行い、その仲介業務に対して売り手や買い手が、仲介手数料を支払うことが定められています。

    この契約にあんこ業者は何も関わらないため、あんこ業者は売り手や買い手に仲介手数料を請求する権利がないと言えます。

    契約上、売り手や買い手が、仲介手数料を支払わなければならないのは、契約相手の不動産仲介会社のみとなるため、あんこ業者が背後で取引に介入していても、売り手や買い手の手数料には影響はありません。

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    5.まとめ

    不動産売買における「あんこ」について解説しました。「あんこ」とは、売り手側の不動産仲介会社と買い手側の不動産仲介会社との間に、複数の不動産仲介会社が関わっている取引形態のことを言います。

    あんこ

    あんこの特徴としては下記のようなものがありました。

    • 売り手や買い手の仲介手数料に影響することはない
    • インターネットが普及した現在ではほとんど見られない
    • 売り手が物件情報を積極的に公開したくない場合にあんこは起こりえる

    あんこについて正確に理解し、囲い込みにも注意しながら、不動産取引をスムーズに進めるようにしてください。

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