陸上世界選手権 男子400mリレー 日本は5位 メダル獲得ならず

陸上の世界選手権、男子400メートルリレーの決勝で日本は37秒83のタイムで5位となり、2大会ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

ハンガリーのブダペストで開かれている陸上の世界選手権は26日、男子400メートルリレーの決勝が行われました。

銅メダルを獲得したカタールでの大会以来、2大会ぶりのメダルを目指す日本は、1走に坂井隆一郎選手、2走に柳田大輝選手、3走に小池祐貴選手、そしてアンカーに今大会の100メートルで6位入賞を果たしたサニブラウン アブデル・ハキーム選手の4人で臨みました。

レースでは1走の坂井選手が持ち味のスタートで飛び出すと、2走の柳田選手もスピードに乗った走りを見せ、3走の小池選手にスムーズにバトンをつなぎました。

小池選手は隣のレーンを走るアメリカの選手に食らいつきましたが、アンカーのサニブラウン選手へのバトンパスが合わずにタイムをロスしました。

バトンを受けたサニブラウン選手は伸びのある走りで前を追いましたが、順位をあげることはできず、5位でフィニッシュしました。

日本は37秒83のタイムで5位に入ったものの、2大会ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

金メダルは今大会の100メートルと200メートルで2冠を達成したノア・ライルズ選手を擁するアメリカで、タイムは37秒38でした。

銀メダルは東京オリンピック金メダルのイタリアで、銅メダルはジャマイカでした。

サニブラウン「悔しい気持ちをパリオリンピックに生かしたい」

男子400メートルリレーで5位となった日本の1走を務めた坂井隆一郎選手は「メダルを取ることをねらっていたので悔しい」と話していました。

2走の柳田大輝選手は「もう少し自分の走りでどうにかできたんじゃないかと思うので、まだまだ力をつけたい」と前を向いていました。

また、3走の小池祐貴選手は「自分が順位を上げてバトンを渡そうといい緊張感でいけたが、攻めた結果としてうまくいかなかった部分もあり、悔しい気持ちがある」とレースを振り返りました。

アンカーのサニブラウン アブデル・ハキーム選手は「みんな、やることをすべてやって臨んだ決勝だったので、メダルをとれず悔しいが、この気持ちを生かしてパリオリンピックや次の東京の世界選手権で金メダルを取れるように頑張っていきたい」と先を見据えていました。

世界と渡り合った「バトンパス」に乱れ 復活が表彰台の鍵に

2大会ぶりに世界選手権の決勝に進んだ日本は、予選では同じ組を走った強豪のジャマイカやアメリカに迫る37秒71のタイムで全体の4番手につけました。

しかし、決勝ではバトンパスに乱れが出て2大会ぶりのメダル獲得を逃し、課題を残す結果となりました。

レースのあと、3走を務めた最年長の小池祐貴選手は「攻めた結果、うまくいかなかった部分がある」とバトンパスの課題を口にしました。

世界選手権の男子400メートルリレーで、日本は2017年のロンドン大会と2019年のドーハ大会では銅メダルを獲得しました。

個々の走力で上回る海外勢に対し、日本はバトンパスの技術の高さで世界と渡り合ってきました。

日本のバトンパスは、おととしの東京オリンピックで史上初の金メダルを獲得したイタリアも「お手本にした」と明かしています。

しかし、日本は東京オリンピックと去年の世界選手権で、いずれもバトンパスのミスによって失格となりました。

強化を担当する日本陸上競技連盟の土江寛裕ディレクターは今シーズン当初、「新しいメンバーも入ってきている中で、これまでのノウハウを受け継いでいかないといけない」と話していました。

そして迎えた今シーズン、日本は7月の国際大会では37秒80の好タイムで優勝し、今回の世界選手権への出場権を獲得しました。

しかし、勝負の世界選手権決勝では、3走の小池選手から4走のサニブラウン選手へのバトンパスがうまくいかず、サニブラン選手が振り向いてタイムをロスしました。

メダルがかかった勝負どころで「攻めた結果」、またもバトンパスに泣く形となりました。

日本を手本にしたというイタリアは今大会でも銀メダルを獲得し、強豪、アメリカとジャマイカの間に割って入るなど、海外勢の技術も向上するなかで、日本が再び表彰台に上がるためにはバトンパスの復活が欠かせません。