輪島 ビル倒壊現場で妻と娘の遺品を探す男性「本当に悔しい」

能登半島地震でビルが倒壊して隣の自宅が巻き込まれ、妻と19歳の娘を亡くした石川県輪島市の男性は、現場で2人の遺品を探しています。男性は取材に対し「毎朝、夢だとよいなと思って起きる。本当に悔しい」と話しました。

輪島市河井町の楠健二さん(55)の自宅は居酒屋も兼ねた3階建ての建物で、隣にある7階建てのビルの倒壊に巻き込まれる形で倒壊しました。

楠さんによりますと、地震の起きた元日は3階で家族5人で過ごしていて、妻の由香利さん(48)と、長女の珠蘭さん(19)が、建物の下敷きになりその後、亡くなりました。

珠蘭さんは地震の直後、建物の下に閉じ込められた後も話ができ、「水をちょうだい」などと話していたということです。

地震の後、楠さんは県外に避難していましたが、27日、輪島市に戻ってきて2人との思い出の品を探しています。

29日は、由香利さんが好きだったという人気キャラクターのぬいぐるみや2人が使っていた枕を見つけると、大切そうに車に入れていました。

中でも楠さんが見つけたいと考えているのが、誕生日に由香利さんからもらった腕時計です。

29日は時計の箱は見つかったものの、本体は見つからず「腕時計だけは何としても見つけたい」と話していました。

楠さんは「毎朝、夢だとよいなと思って起きる。倒れてきたビルさえなければと思う。それだけが悔しい。本当に悔しいよ。涙がかれるまで泣いたけど、やっぱりまだ悲しい」と話していました。

楠さんは、30日以降も現場を訪れて2人の思い出の品を探すということです。