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 2024年4月から、建設業に時間外労働の上限規制が適用される。いわゆる「建設業の2024年問題」だ。規制適用を間近に控えた2月上旬から中旬にかけて、日経クロステックは主要な建設会社にアンケートを実施。建築現場で規制をクリアするめどが立っていない企業が約4割に上った。各社はあの手この手で対策を講じているものの、なかなか結果に結びつかずに苦慮する実態が浮かび上がった。

Q.建築現場で残業規制をクリアできそうか?
Q.建築現場で残業規制をクリアできそうか?
2024年4月から建設業に適用される時間外労働の上限規制について、建築現場でクリアのめどが立っているかどうかを尋ねた。回答した31社のうち42%が「めどが立っていない」とした(出所:日経クロステック)
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 調査は、建築専門誌「日経アーキテクチュア」が毎年実施している経営動向調査の建設会社決算ランキングにおいて、22年度の建築売上高(単体)が500億円以上だった計42社が対象。24年2月19日までに計31社から回答を得た。

 2024年問題とは、18年成立の働き方改革関連法で設けられた5年の猶予期間が24年3月末に終了することを指す。長時間労働が常態化していた建設業にも、運送業などと同じく猶予が与えられたが、いよいよタイムリミットが迫っている。24年4月以降は残業時間に「月100時間」「複数月平均80時間」「年720時間」「月45時間超は年6回まで」という規制が適用される。

 対応が特に難しいのが、建築工事の現場だ。アンケートでは、各社の「建築現場」において、規制をクリアできそうか尋ねた。回答した31社の42%が「めどが立っていない」とし、規制適用直前ながら、「めどが立っている」とした建設会社は58%にとどまった。

 建設会社が手をこまねいていたわけではない。2024年問題に備えて実施・検討している対策を複数回答で尋ねたところ、全回答企業が「適正工期での受注」を選択。「現場支援部署・チームの立ち上げ」や「ITの活用による施工管理業務の効率化」も、ほとんどの企業が実施・検討していた。

Q.2024年問題に備えて実施・検討している対策は?
Q.2024年問題に備えて実施・検討している対策は?
「建設業の2024年問題」に備えて実施している、あるいは検討している対策について複数回答で尋ねた。「適正工期での受注」は回答を寄せた31社全てが実施・検討していると答えた(出所:日経クロステック)
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 その他、施工管理業務における「人材派遣の活用」(28社)や「新卒・中途採用の強化による人材確保」(26社)、「外注の活用」(23社)など、人材の確保に奔走している様子がうかがえる。