携帯電話事業者が端末の販売や契約を代行する販売代理店に対して支払っている,支援コストの総称である。販売代理店は,販売奨励金があることから,端末の消費者への販売価格を仕入れ値より下げても収益を稼げる。販売奨励金の額は端末の種類によって異なるが,3万5000~4万円が平均とされている。携帯電話事業者は,販売奨励金の原資を利用者の毎月の通信料から回収する(図)。

 販売奨励金は,高機能の携帯電話機をユーザーが比較的低価格で購入できることから,高機能端末や買い替えに対するユーザーの需要を喚起し,端末市場の拡大に大きく寄与してきた。

 ただし,課題もいくつか指摘されている。まずユーザー間でコスト負担の公平性が担保されていない。今となっては,通信事業者の事業コストを押し上げる要因になっている。また,事業者が販売奨励金の原資を通信料金から回収している事実を,消費者が十分認知していない,といった点もある。

販売奨励金のモデル(図:総務省の資料を基に本誌が作成)
販売奨励金のモデル(図:総務省の資料を基に本誌が作成)(日経エレクトロニクス2007年6月4日号より抜粋)