商品の特徴に合わせた戦略のチューニングを行うための相対化フレームを解説する本連載。前回は、「ZMOT(Zero Moment-Of-Truth)」を「思い出してもらうまで」と「思い出してもらってから」に分けて考える重要性と、口コミの4分類について考察した。今回は、伝統的なマーケティングファネルを用いて、商品カテゴリーによって異なる施策の捉え方を解説し、ここまでの連載内容を総括する。

マーケティングファネルの見方、考え方も商品カテゴリーによって異なる(写真/Shutterstock)
マーケティングファネルの見方、考え方も商品カテゴリーによって異なる(写真/Shutterstock)

 本連載では、これまで9回にわたって主に以下の内容を解説してきた。

 今回はその総まとめとして、多くのマーケティング担当者が業務で活用する伝統的なマーケティングファネルを用いて、優先的に取り組むべき「効く施策」と、優先順位の低い施策が商品カテゴリーによって異なることを説明する。

「買ってもらうまで」と「買ってもらってから」

 2000年くらいまで、マーケティングのゴールは多くの企業で売ること(買ってもらうこと)だった。そのため、マーケティングファネルの最後は「Action(行動)」や「Purchase(購入)」が設定されていた。認知→興味→理解→比較検討→購入、といった順である。

 しかし、市場が超高度に成熟し、先進国では人口が減少する局面に入ると、企業の売り上げの多くは新規顧客の初購入(トライアル売り上げ)だけでなく、既存顧客が既存商品を買い続ける「リピート売り上げ」の割合が上昇することになる。そうなると、マーケティングのゴールは買ってもらうだけでは不十分だ。

 こうしてマーケティングファネルは、トライアル売り上げを増やす「買ってもらうまでのマーケティング(プリマーケティング)」に、リピート売り上げを増やす「買ってもらってからのマーケティング(ポストマーケティング)」が追加されることになった。これが俗にいう「ダブルファネル」である。

 ダブルファネルに、該当するマーケティング施策をマッピングすると次のように整理できる。

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