服務規律とは、簡単に言うと「職場の秩序を守るためのルール」です。価値観が多様化する社会において、服務規律の重要性が増しており、見直しを急いでいる会社も多く見られます。

では、この服務規律は、就業規則とどう違うのでしょうか?また、違反した社員にはどのような処分が可能なのでしょうか?この記事では、服務規律に関するさまざまな疑問について、わかりやすく解説します。

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服務規律とは

服務規律とは、事業場(職場)の秩序を維持するため、従業員の義務や禁止行為などを定めたルールを指します。「服務規定」「執務心得」など、会社によって呼び方はさまざまですが、ほぼ同じものを指していると考えて良いでしょう。

内容は、業務に対する姿勢から、身だしなみ、ハラスメント、SNS利用など、多岐にわたります。

服務規律の目的はコンプライアンス遵守

服務規律そのものは、法律で作成が義務付けられているものではありませんが、コンプライアンス遵守のために重要な規定として位置づけられています。機密情報の漏洩や会社への誹謗中傷を禁止するなど、自社への損害リスクを抑える役割も担っています。

服務規律は就業規則とどう違う?

服務規律も就業規則の一部であり、就業規則中に「第○章 服務規律」のように章立てで記載をされるケースも多く見られます。

また、別途「服務規定」など、就業規則本則から独立して作成されることもあります。その場合、就業規則本則には、労働基準法において規定することが義務付けられている「絶対的記載事項」や「相対的記載事項」など、主に労働条件に関する事項を定めるのが一般的です。

一方で、就業規則で規定していない、施設利用や行為規範など、いわゆる「ローカルルール」的な内容は、服務規律に定めることが多いようです。

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服務規律に規定すべき内容

服務規律の内容は、会社が任意に定めることができますが、一般的には以下のような事項について規定します。

  • 労働者の義務に関すること
  • ハラスメントに関すること
  • 身だしなみに関すること
  • 施設利用や会社備品に関すること
  • 勤怠に関すること
  • 秘密保持・個人情報に関すること
  • 兼業や副業、競業避止義務に関すること
  • SNSの利用に関すること

労働者の義務に関すること

労働者の義務については、主に以下のような規定を設けます。

  • 誠実労働義務
    • 責任感を持って誠実に業務に従事すること
    • 会社の指揮命令には従うこと
  • 職務専念義務
    • 勤務中は職務に専念しむやみに職場を離れないこと
    • 私語を慎むこと
    • 居眠り・酒気帯びの禁止
  • 秩序維持義務
    • 整理整頓に努め常に職場の清潔を保つこと
    • 喫煙は指定場所で行うこと
    • 他の従業員の業務を妨げる行為の禁止

秩序維持義務の「他の従業員の業務を妨げる行為」には、政治的主張を繰り返す行為や、サイドビジネス、宗教への勧誘行為などが該当します。

ハラスメントに関すること

ハラスメントに関する規定は、社会的関心も高く、特に発生防止や適切な事後対応に向けた取り組みが求められます

「セクハラの禁止」の規定例としては、「性的言動により、他の労働者に不利益や不快感を与えないこと」などが考えられます。

「パワハラの禁止」の規定例としては、「社内の地位や優位性を背景に、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えないこと」などとします。

また、その他のハラスメントの禁止や、ハラスメントを目撃した場合の報告義務、ハラスメント被害者のための相談窓口なども規定します。

身だしなみに関すること

制服の着用義務や、華美なアクセサリーの着用禁止などが該当します。過度な規制はかえってモチベーション低下を招き悪影響となる可能性もあるため、ある程度の自由も必要ですが、特に接客業などは、来店客などに不快感を与えないような服装を義務付ける必要があります。

また、食品衛生に関する業務に従事する場合は、爪や髪の毛など清潔・衛生には特に注意すべきでしょう。

施設利用や会社備品に関すること

会社施設を長時間独占しないこと、施設を本来の目的以外で使用しないこと、などが該当します。また、会社の備品に関しても、無許可で持ち出さないこと、紛失・破損しないことなどを規定しておきます。

勤怠に関すること

遅刻、早退、欠勤、中抜けなどの際は上長の承認を得ること、これらの不就労に対しては賃金控除を行うこと、などを規定します。特に欠勤控除については、規定がなければ必ずしも控除不可というわけではないものの、トラブル回避のためあらかじめ定めておくのが無難です

また、日々の打刻は必ず忘れず行うこと、勤怠記録を修正する場合は上長の承認を得ること、といった勤怠記録に関する規定や、傷病により一定の日数以上連続して欠勤する場合は医師の診断書を提出すること、といった病欠に関する規定も盛り込んでおきましょう。

秘密保持・個人情報に関すること

社外秘となる情報や、個人情報に関するデータ流出防止対策も重要です。具体的には、以下のような規定が挙げられます。

  • 在職中・退職後を問わず、会社や業務上知り得た顧客の情報などを漏洩しないこと
  • 自らの業務に関係のない情報を不当に取得しないこと
  • 異動や退職時は、自ら管理していた会社や顧客に関する書類やデータを速やかに返却すること

また、上記に加えて、従業員が内部不正によって機密情報を漏洩した場合の損害賠償責任についても記載しておきましょう。なお、近年は入社時に「秘密保持に関する誓約書」などに署名・押印させる例も多く見られます。

兼業や副業、競業避止義務に関すること

兼業や副業に関しては、以下のような規定が挙げられます。

  • 兼業・副業を行う際には事前に会社の許可を得ること
  • 自社の業務に支障を来さない範囲で行うこと
  • 退職後一定期間は、同一地域内における同業他社への転職を禁じること

なお、職業選択の自由の観点から、兼業や副業、競業他社への転職を一切禁じることはできない点には、留意が必要です。

SNSの利用に関すること

SNSへの関わりは、近年急激に対応を迫られるようになった分野であるため、規定の整備が遅れている可能性も大いにあります。具体的には、以下のような規定が挙げられます。

  • SNS等で、会社や特定の従業員を誹謗・中傷しないこと
  • SNS等で、会社や顧客の情報、写真や動画などを無許可で投稿しないこと
  • 会社のアカウントを使って、政治的な発言など個人的な発信をしないこと

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服務規律に違反したらどう対処する?

従業員が服務規律の内容に違反した場合、就業規則等において、該当の違反が懲戒事由として定められていれば、処分の対象とすることが可能です。

ただし、違反の内容に対して処分が重すぎる場合は、懲戒権の濫用として無効になる可能性もあるため、見極めが重要です。どのような行為が服務規律違反に該当するのか、できる限り細かく規定しておくことをおすすめします。

また、たとえ懲戒解雇に該当する重大な違反であっても、周囲への聞き取りや本人への弁明の機会の付与など、適正な手続きに沿って進めることが、トラブル回避のためにも重要です。

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服務規律を整備して働きやすい職場に

服務規律は不当に従業員を拘束するものではありません。社内秩序を安定させ、快適な職場環境を整える意味で作成されます。ただし、他の規定と異なり、業種や会社の風土などによって、規定すべき内容は異なります。

ハラスメント対策やSNS監視などに人的リソースを割けるよう、日々の勤怠管理はシステム化するのがおすすめです。勤怠管理システムを導入すると、労働時間・時間外労働・有給休暇の取得状況など、勤怠データの集計はシステムが自動でおこないます。

システムには常に最新の内容が反映されています。一目で勤怠状況を把握できるため、管理職は労務担当者に何度も確認の連絡を入れる必要はありません。一方、労務担当者も工数の掛かる作業を自動化でき、他の業務に集中して取り組めます。

しかし、初めて勤怠管理システムを導入する場合、どのように探したらいいか、わからない方も多いでしょう。「勤怠管理システムの選定・比較ナビ」をご利用いただくと、必要な要件を満たしている選択肢から、自社に最もマッチングするシステムを探し出せます。

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