COFFEE
Nagai Kafū
Satō
One cup of coffee with three sugar cubes and alcohol.
コーヒー
永井荷風
「砂糖」
角砂糖を3つとアルコールを入れたコーヒー
出典:青空文庫📖「砂糖 永井荷風」「永井荷風「砂糖」図書カード」
1.鑑賞のタスケ 「砂糖」
読書は人によって、読み方や感じ方、受け取り方も違います。
わたしはこのように読みました。皆さんはどのように読みますか。
トークの流れ&キーワード 1)-1:06
1)「砂糖」について
▶永井荷風(ながい・かふう、小説家)が70歳くらいのときに書いた
▶随筆(ずいひつ)、エッセイ
▶前半:自分の健康状態、コーヒーの話。
後半:ショコラの話、芸術における食べ物について。
▶医者「砂糖を含む食べ物・飲み物を控えるように」と注意された。
70歳の永井さん・・・甘いコーヒーが大好き。
-覚えている限り25歳からこれまで
どんなときでもコーヒーをやめられなかった。
トークの流れ&キーワード 2)1:06-5:00
2)コーヒーが大好きでやめられなかったという話
①永井荷風
▶1879年(明治12)-1959年(昭和34)
▶35歳頃(大正3) 新橋の芸妓(げいぎ)と結婚している。1年くらい。
芸妓(げいぎ)・・・宴席でお客をもてなす女性、芸者(げいしゃ)、芸子(げいこ)
江戸(えど)戯作者(げさく・しゃ)風(ふう)の読み物を書きたい!
-戯作(げさく)・・・江戸時代の通俗(つうぞく)小説
/芸術的ではない楽しい小説のような読み物
そのために・・・
花街(はなまち、芸者・遊女の店が集まっている街)で
★好き勝手な放蕩(ほうとう)生活★をしていた。
★1 三味線を引く
★2 手ぬぐい(タオルみたいなもの)を持って、朝お風呂に入りに行く
「面白い文章を書くために必要なんだ!」と思ってやっていたときがある。
〈どういうこと?〉
例1「大学生のうちに、大学を卒業する前に 英語がペラペラになりたい!」
→そのために・・・ →留学生のお世話をする
例2「やせたいな。ダイエットしたいな。」
→そのために・・・ →じゃあ、毎日20分くらい走ってみようかな。
永井さん「面白い文章を書きたいな」
→そのために・・・ →好き勝手な放蕩生活をしていた。
②蜀山人(しょくさんじん)
▶1749年-1823年、永井さんより50年、60年前の人
▶江戸時代の文人(ぶんじん)、戯作者
▶『瓊浦又綴(けいほゆうてつ)』を書いた人。
・・・コーヒーを飲んだ体験が書かれている、日本初の(コーヒー)体験記
-豆を煎(い)ったものは焦げ臭いから食べるな
永井さんは「江戸戯作者風の文章が書きたいな」と思って、
-生活もそれに通じるような好き勝手な放蕩生活をしていた。
蜀山人(江戸時代の戯作者)-永井さんにとって尊敬する人??憧れの存在??
「コーヒーは飲むな!」→永井さん「コーヒーは、やめられない!」
◎まとめ・・・尊敬する憧れの人に「コーヒーは飲むな」と言われても、
コーヒーをやめることができなかった。
そんな大好きなコーヒーをやめなきゃいけなくなった。
中年30代から40代の習慣嗜好を変えるのは難しい。
★私の考え・・・甘くないコーヒーだったら飲んでもいいんじゃないの?
→永井さんにとってのコーヒーは「甘い飲み物」?
→砂糖なしのコーヒーは、コーヒーであって、コーヒーじゃない?
トークの流れ&キーワード 3)5:00-6:20
3)コーヒーはどうやって飲むのが好き?
メモ
▶コーヒーを飲まないっていう人も多い。私の周りには結構いる。
▶私はコーヒーは好き。飲むときはミルクだけかブラックで飲む。
朝はミルクを入れて飲む。
▶昔は砂糖を入れて飲んでいた。最近(砂糖を)入れなくなった。-特に理由はない。
▶砂糖を入れなくても飲めるようになった。
▶イタリアのエスプレッソなら、砂糖を入れなきゃ飲めない。
▶日本で飲むコーヒーはお茶みたい。砂糖は入れないのが好き。
▶チーズケーキとブラックコーヒーはたまらない(大好き!)。
▶永井さんはコーヒー自体が甘いものだった。
▶わたしは甘いものと苦いコーヒーが好き。
トークの流れ&キーワード 4)6:20-
4)面白いなと思ったこと
「砂糖」の中で面白いなと思ったこと
「身は心とともに辛き思いに押しひしがれて、
遂には塩鮭のごとくにならねば幸いである」
70歳の永井さん「既に久しく辛酸を嘗め飽きている」
→もう長いこと充分に苦しい・辛い思いをし飽きている。
もう充分でしょ。もういらないよ。
永井さんの楽しみ 「甘いコーヒー」
「好きなことを思い出せる大好きなコーヒー」
「ずっと飲み続けてきたコーヒー」
やめなければいけない!!!
→「辛き思いに押しひしがれて塩鮭のようにならなければ幸いだ」
★私の想像・・・スーパーで売られている切り身・スライスの鮭→切られる!→ ×
「押しひしがれて」
塩鮭の製造工程
1.捕獲(ほかく)してきた鮭の体に塩をのせる
2.何度も何度も塩をすり込んでいく。ごしごしぎゅっぎゅ。
→これが永井さんにとっての「世の辛酸を嘗めるに飽きた辛き思い」??
体+顔も目玉(めだま)も
顔を押さえつけられて、塩をすり込まれる。
もう死んじゃっている鮭、押さえつけられている圧(あつ)で口がパクパク開く
→鮭が「うっうっ」と苦しみを感じているように見えた。
「こんな塩鮭のようにならなかったらラッキーだよね」「運が良い」
→まだここ(塩鮭)までじゃない。これ(塩鮭)に近いものはある。
★私→鮭→永井さんのことを考えるかも??
甘いコーヒーくらいは、
砂糖の代用(だいよう)になるなにかで、なんとかしてあげられないかな?
2.レトワル店主の 感想
好き度 ★★★★☆(少し雰囲気が重い、でも表現が面白い!)
感想はここをクリック!
読んでいるときの感覚は色で喩えると「苔色」です。やはり、病気のために「砂糖」をあきらめなければならないといった落胆がテキストを通じて、どっしりと伝わってくるのだと思います。病気という現実だけでも辛い、辛酸を嘗め飽きているほどのこの世の中で、甘いものさえもう口にできないのか…。でも、塩鮭のようにならなければ、まあラッキーかのような表現が好きでした。
今ある健康と好きなものを好きに口にできるありがたさを噛みしめながら、
ゆっくりと時間をかけて味わっていただきたいテキストです!
3.たのしい クイズの 時間
1問目 「わたし」は自身の健康を何に喩えていますか。2つ答えなさい。
解答例
①雨の漏る古家
②虫の喰った老樹
2問目 「甘き酒に酔う」と「辛酸を嘗める」とは何か。文中のことばを使って説明しなさい。
解答例
「甘き酒に酔う」・・・青春の歓楽
「辛酸を嘗める」・・・悲痛艱苦の経験をたとえたこと
3問目 医者から砂糖分を含む飲食物を節減するように言われて、筆者はどう思った?
解答例
辛い思いに押しひしがれて、塩鮭のようにならなければいい
4問目 「わたし」の珈琲の楽しみ方を文中のことばを使って説明しなさい。2つ
解答例
①食事の度に強い珈琲にコニャック、キュラソーなどの酒を注いで、角砂糖を3つくらいも入れて飲んでいた。
②午後や夜中にもしばしば珈琲を沸かすことを楽しんでいた。
5問目 「わたし」の最も好きな珈琲はトルコ珈琲ですが、それはなぜですか。2つ答えなさい。
解答例
①トルコ珈琲の少し酸いような渋い味わいがエジプト煙草の香気によく調和するから。
②フランスオリエンタリズムの芸術を喜びいっぱい迎えるわたしに、ゴーチェ、ロッチの文学やビゼ、ブリュノオの音楽を思い出させるから。
6問目 「わたし」は何歳から珈琲をたしなんでいますか。
解答例
はっきり覚えていないけど、25歳の秋にはフランス風の珈琲を喜んでいた。
4.漢字に チャレンジ!
印象に残った文章を抜き出しました!☕
漢字の練習をしたり、言い換えの文を作ったり、
先生に合わせて声に出して読みましょう!
1)病めるが上にも年々更に新しき病を増すわたしの健康は、譬えて見れば雨の漏る古家か虫の喰った老樹の如きものであろう。
2)先頃掛りつけの医者からわたしは砂糖分を含む飲食物を節減するようにとの注意を受けた。
◎注意されたことをいう
【いつ】【だれ】から(わたしは)
【注意されたこと・V辞書形/ない形】ようにとの注意を受けた。
【いつ】【だれ】に(わたしは)
【注意されたこと・V辞書形/ない形】ようにと注意された。
例文
1)近頃(ちかごろ)妻から寄り道(よりみち)しないでもう少し早く帰ってくるようにとの注意を受けました。
2)昨日近所の人からゴミを捨てるときゴミの袋はきちんと閉めるようにとの注意を受けた。
3)先週部長にもっと正確に日本語を書くようにと注意されました。
3)食事の折のみならず著作につかれた午後または読書に倦んだ夜半にも わたしはしばしば珈琲を沸すことを楽しみとした。
4)かかる放蕩の生涯が江戸戯作者風の著述をなすに必要であると信じていた頃にも、わたしはどうしても珈琲をやめる事ができなかった。
5)各人日常の習慣と嗜好とは凡そ三十代から四十前後にかけて定まるものである。中年の習慣は永く捨てがたいものである。
参考資料
YouTube murakamiTV「塩引鮭の作業工程(海鮮処番屋㈱渡辺鮮魚)」3:51~
塩引き鮭で有名な新潟県村上の塩引き鮭製造の作業風景です。鮭に塩をこれでもかとすり込む様子が見られます。
2021.8
caffe for the teacher
After a pocket lesson, I sometimes take a break with teacher for a cup of coffee☕
$1.00
©2021 YOSHIDA TO NIHONGO