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乳用牛の栄養摂取
牛に必要な栄養素は人と大きく異なっている
人間には四大栄養素としてタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミンというものがあり、バランスよく摂取する必要があります。牛もバランスよくこれらの栄養素を摂らなくてはならないのですが、第1胃という便利な器官のおかげで、人間のように良質なものを必要としません。
炭水化物のうちのデンプン質は、人間には最も重要な栄養素ですが、牛が多量にとると病気のもとになります。人間の場合、デンプンを食べると消化管でデンプンを分解してブドウ糖にしてから吸収します。牛の場合、人間が利用できない繊維質を、第1胃の微生物がVFA(volatile fatty acid:揮発性脂肪酸)という物質に分解・合成して体内に取り込み、ブドウ糖や脂肪に再合成するのです。牛に大量にデンプンを与えた場合、微生物はデンプンをVFAに変え、その反応は繊維を分解するときよりも急速に進むため、第1胃内にガスが発生して病気になってしまいます。
牛は肉を食べません。だからタンパク質を摂るための特別な機構があります。それは微生物がもっているタンパク質を利用してしまうという機構です。牛がエサとする物質にわずかに含まれているタンパク質を、第1胃内の微生物は分解してくれます。タンパク質を分解するとアミノ酸やアンモニアになります。これらの物質から微生物は自分の身体に必要なタンパク質を再合成します。この微生物体のタンパク質は牛にとってもっとも利用しやすい良質なタンパク質となります。牛は胃の中にいる微生物をちょっとずつ第4胃や腸管の方へ送って消化し、タンパク質として利用しています。
牛は特別な目的がない限り、脂肪を食べる必要がほとんどありません。これは繊維を分解して得られるVFAから効率よく脂肪を合成することができるからです。ビタミンについても人より便利にできています。例えば人では必ず摂らなくては生きていけないビタミンB群やCのほとんどを第1胃の微生物が作ってくれるため、これらを利用すれば良いのです。しかし、脂溶性(しようせい:脂に溶けやすい性質のこと)のビタミンA、D、Eは人と同じように体外から摂取しなくてはいけません。一般的な牛のエサでは脂溶性ビタミンが不足するため、多くの農家はビタミン剤を牛に与えています。
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